コラム

アジア・海外就職で英語力とキャリアを同時に得られるか検証してみた

こんにちは!海外キャリアコンサルタントの岡本(@tokamoto1979)です。

現在、閉塞感漂う日本を飛び出し、アジアを中心とした海外でキャリアを積んでいこうと考えるビジネスパーソンが増えています。

私は職業柄、アジア就職に興味を持った方から相談を受ける事が多いのですが、特にアジア転職希望者からの質問で多いのが「アジア就職で英語を学びながらキャリアップをしていけるのか?」という内容です。

そこで、今回はこの海外就職による「英語」「キャリアアップ」についての記事を書いていこうかと思います。

1.英語が苦手な私でも英語を学びながらアジアで働きながらキャリアアップはできるの?

先日、28歳営業職 女性Aさん(TOEICスコア500点)から以下のご質問をいただきました。

「これまでオフィス家具の法人営業として5年ほど国内でキャリアを積んできましたが、会社の業績は頭打ちで、私自身もなかなか業績を伸ばせません。周りも優秀な同僚から転職活動をしていくのですが、国内の同業他社へ良い条件で転職を成功させた人は、少数派。結局は、将来の不安を感じながらも今の会社に留まる人がほとんどです。ただ、5年10年の中長期のキャリアを考えた場合、このままで良いとも思えません。最近、海外との取引も少ないながら出てきたので、アジアで仕事をすることに興味を抱いて、英会話の勉強も始めました。とは言え、まだ英語力は日常会話レベルです。英語が苦手な私でも英語を学びながらアジアで働きながらキャリアアップはできるのでしょうか?」

上記のような漠然とした不安を感じるビジネスパーソンは多いのではないでしょうか?最近景気は上向いてきているとの報道を見聞きはするものの、国内市場は縮小し、競合企業との競争は激しさを増す中、業績を上げるのが難しくなってきています。

今の会社で10年も20年もキャリアを積むことは考えられない。でも、特別な資格もない中で、転職市場には自分と似たようなキャリアを持っている人が溢れていて、転職もままならない。焦って英語や資格取得の学校に通ってはみるものの、イマイチこれで良いとの納得感もない。

中途半端なTOEICスコアや資格を持ったところで転職市場で評価されるとも考えられない。こういう方も多いのかもしれません。

このような状況の中、「英語力の向上」「キャリアアップ」の一石二鳥を狙えるアジア海外就職が最近話題を集めています。

2.そもそも、微妙な英語力でもアジアで海外就職することはできるのか?

アジアで現地採用の仕事を希望する際にまず考えないといけないことは、やはり語学力(英語力)になります。特に、日本人の求人が多い、ASEAN諸国(シンガポール、フィリピン、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム)においては、ある程度の英語力があれば、現地語(ベトナム語やタイ語など)が話すことができなくても、就職することは可能です。

アジア就職における国別の必要な英語力は下記になります。

上記の表をご覧になっていただけるとわかる通り、英語力は550点(場合によっては500点でも十分可能)以上あれば、多くの国で就職は可能です。もちろん、同じ国でも業種や職種、会社によって求められる英語力は異なります。上記の表は就職する上での最低限の英語レベルであると考えてください(日本語のみを必要とする業務の場合は語学力を問われないケースもあります。)。

現地採用で仕事をする場合、日系企業に勤めることになるケースがほとんどです。アジア就職で一番多い職種である営業職の場合、社外での営業は相手先が日系企業が多いため、社外の営業現場では日本語が中心になります。しかし、社内の公用語は英語である場合が多いため、そこで英語を話すこと必要がでてきます。また、インドネシアやタイ、ベトナムといった国では、英語が得意ではない人が多いため、英語での意思疎通だと不自由する場合もあるかもしれません。

一方、シンガポール、フィリピン、マレーシアでは英語がかなり通じるため、ある程度の英語を話すことができれば意思疎通はできます。ただ、マレーシア、シンガポールの場合、TOEIC800点前後の英語力がないと、応募できる求人案件が減ってしまい、良い就職先に就職することは難しくなってしまいます。

また、現地語(タイ語、ベトナム語など)ですが、就職する際には必須ではないものの、話すことが出来ればもちろん大きな武器になります。現地で長い間暮らしていくのであれば、就職後、英語と合わせて現地語も練習をして、ある程度の語学力をつける方が生活の面でも仕事も面も便利でしょう。

今回、ご相談をいただいたAさん(28歳営業職/女性/TOEICスコア500点)の場合、やや英語力に不安が残るものの、現時点においても、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンにおいては十分就職のチャンスはあるでしょう。

3.英語力の向上とキャリアアップを目指すならアジアで海外就職することがオススメの理由

海外、特にアジア就職をする場合のメリットは数多くありますが、今回は下記の4つに絞って解説しますね。

理由① 英語力を飛躍的に伸ばすことができる

アジアで仕事をした場合、就職する国、職種にもよりますが、飛躍的に英語力を伸ばすことができます。例えば、フィリピンやシンガポール、マレーシアなどの国に就職をした場合、日常会話から英語を話すことになります。また、海外就職でもっとも一般的な日系企業向けの営業職に就いたしても、クライアントの日本人担当者とは日本語で話すものの、社内公用語は英語になります。

またそれ以外のタイ、ベトナム、インドネシアなどの国々就職をした場合も同様に社内公用語は英語になるケースがほとんどです。日常業務で英語を使う職の場合、英語力を大きく伸ばすことができるでしょう。ただ、気をつけないといけないのはコールセンターへの就職です。この場合は、ほとんど日本語による業務になりほとんど英語を話す機会はないケースがほとんどです。もし英語力を伸ばすことを伸ばしたいのであれば、職種選びはかなり重要になります。

 

理由② キャリアの可能性を広げることができる

私はアジア就職は、多くの人にとって将来の可能性を広げていくことができる戦略的なキャリアであると考えています。5年10年20年後の日本とアジア、世界の状況を想像した時、将来どこでどのように仕事をしていたいと考えられるでしょうか?その時、日本やあなたが勤めている日本に希望や可能性を感じるでしょうか?またアジア各国はどのように経済発展しているでしょうか?一度考えてみても良いかもしれません。

下記はASEAN諸国の2007年と2014年の経済規模(GDP)の比較した表です。多くの国々はこの7年間、2倍近くに経済力を伸ばしています。

一方で下記は日本を含むアジアの大国の2007年と2014年の経済規模(GDP)の比較した表です。日本は残念ながらこの7年間でほとんど経済発展をしていないのが現場です。

上記2つの表を見ていただくと、経済成長率の差に大きな違いがあることがおわかりになると思います。もちろん、現時点において、日本とASEAN諸国の経済規模自体には大きな違いがありますが、長中期で考えた場合、どちらにキャリアの軸足を置いておいたほうが良いかは明らかだと思います。

さらに超長期の各地域の経済規模の推定値は下記になります。このグラフからもアジアの相対的な地位の向上と日本の相対的な地位の低下をうかがい知ることができるでしょう。

また、下記は日系企業の現地法人の推移になります。日系企業のアジアへのシフトがよくわかると思います。今後この流れはさらに加速していくものと考えられます。

理由③ 人として成長することができる

海外、特にアジアで仕事をする上で魅力的なのが、英語を中心とした語学力を見つけることができるという点です。しかし、本当にそれだけでしょうか?人種も言語も宗教も考え方も異なる人々の中で仕事をするだけではなく、生活するのはとてもエキサイティングな経験になりますし、人として多くのことを学ぶことができるでしょう。

例えば、語学だけではない真のコミュニケーション能力を身につけることができるでしょうし、現地の人の考え方や物の見方も学ぶことができるでしょう。もちろん、このような環境の中で仕事をすることは簡単なことではないですし、時に思い悩むこともあるかもしれません。しかしだからこそ、これからのグローバルな世界で生きていくための自信と実力をつけることができますし、人として成長する機会をより多く得ることができます。

 

理由④ 思ったよりも好条件で働くことができる

アジアで働く際、低賃金での給料や過酷な労働環境をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一般的なアジア就職の形態である現地採用の待遇は20歳代、30歳代の給与としては決して悪くないレベルです(下記、国別現地採用給与の目安を参照。)。また、シンガポールを除く一般的な物価水準は日本の2分の1〜3分の1程度と安く、私のクライアントさんの場合でも、日本で仕事してきた時と比べて、貯金できる金額が増えるケースもかなり多いのが現状です。さらに会社によっては、住宅手当や海外旅行保険、自動車やドライバーなども工面してくる場合もあります。

※1 インドネシアのみ所得税は会社負担してくれるケースが多い。

長いキャリアを考えた時、「どちらの道を選んだ方が、5年後、あなたの目の前に大きな可能性が広がっていますか?」「あなたは可能性を広げるキャリアと可能性を狭めるキャリアのどちらを歩みたいですか?」

これらの問いは一度考えてみても良いのではないでしょうか?

4.英語力を上げながらキャリアアップを目指すなら、まずはフィリピン就職がオススメ

現時点の英語力がまだまだの場合でも、英語力を伸ばしながら海外就職をしてキャリアアップを図っていきたい場合、フィリピン就職がオススメになります。理由は以下になります。

理由① 英語が共通語

フィリピンの共通語はタガログ語に加えて、英語が採用されています。そのため、日常あちこちで普通に英語が話されていますし、フィリピン国内で英語が通じない場面に出会うことはほとんどないでしょう。また、フィリピンの英語はアメリカン・イングリッシュで、訛りの少ない綺麗な英語を話す人が非常に多いのが特長です。そのため、最近では英語学習の留学先としてもオンライン英会話スクールとしても、さらには英語のコールセンターのメッカとしても、彼らの英語力は、日本だけでなく世界中から注目を集めています。英語を学習しながら働く環境としては最強であると言えるでしょう。

 

理由② 採用のハードルが比較的低い

最近、マニラやセブといった(フィリピンの中では)都会に数多くの日系企業が進出しており、日本人の求人が増えています。しかし、フィリピンで仕事をしたいという日本人が少ないということもあり、企業からの求人はあるものの応募者が少ないというのが現状です(2017年5月時点)。当然、日本人の需要が多いにも関わらず、供給であるフィリピンで働きたい日本人が少なければ、採用のハードルは低くなります。そのため、ある程度の英語力(TOEIC500点程度)があれば、日本で仕事を探すよりもフィリピンで仕事を探す方が就職活動を有利に進めることができる可能性があります。

 

理由③ 比較的給与水準も高め

企業にとって、日本人の需要が多いにも関わらず、供給であるフィリピンで働きたい日本人が少なければ、当然採用のハードルは低くなる一方、労働環境や待遇は良くなります。要は、日本人の取り合いが発生するためです。以下は実際に公開されている求人案件の業種及び職種の例です。

業種 大手通信会社(日系)
職種 営業
応募資格 大卒/ある程度の英語コミュニケーション能力
勤務地 マカティ(マニラ)
給与 105,000PHP (235,000 円程度)
待遇 自動車及びドライバー
※給料は税金控除前の金額になります。

下記のような求人もあります。

業種 ゼネコン(日系)
職種 一般事務
応募資格 長期就業/ある程度の英語コミュニケーション能力
勤務地 マカティ(マニラ)
給与 85,000〜100,000PHP (190,000〜225,000 円程度)
※給料は税金控除前の金額になります。

上記は比較的条件が良い部類に入りますが、日本円で180,000円程度の給料が出るお仕事であればかなりあります。フィリピンの物価を考慮に入れると、この水準の給料をいただけるのであれば、かなり余裕のある生活を送ることができるでしょう。

 

理由④ 安い物価

フィリピンを含め、ASEAN諸国で生活する上で最大の魅力は物価が安いということです。私はフィリピンに在住なのですが、例えば、国内でマッサージを受けると1時間500円程度ですし、タクシーは初乗りで90円程度、安い食堂でご飯を食べれば数百円でお腹がいっぱいになります。下記の物価の表をご覧になっていただけると、物価のイメージがつくと思います。

フィリピンの物価の詳細はこちらへ

ただ一方で、日本並みの生活をしようとすると、下手をすると日本の地方都市以上の生活費がかかってしまうかもしれません。例えば、最近マニラやセブでは日本のラーメン屋が数多く出店していますが、高いお店ではつけ麺一杯1,000円もするところもあります。ただ、自分の給料とライフスタイルで生活水準と生活費をコントロールできるのも良いところです。

 

理由⑤ 豊富な求人案件

こちらもフィリピンに限らず、東南アジア全域で言えることなのですが、近年数多くの日系企業が進出しているということもあり、多種多様な求人案件があることも魅力の一つです。そのため、自分の英語力や職歴、今後のキャリアビジョンに沿った就職先を選ぶことができます。ただ、選択肢が多いが故に、自分で選ぶ力がないとキャリア選びに失敗してしまうこともある点には注意が必要です。

フィリピンの求人情報の詳細はこちら

もちろん、あなたのキャリアプランによってはベトナムが最適な国かもしれませんし、シンガポールがそうであるかもしれません。ただ、英語力を伸ばしながら仕事をしていきたいのであれば、採用のハードルが低く、英語が公用語で、他のメリットも充実したフィリピン就職は選択肢に入れても良いかもしれません。

5.海外就職で英語力とキャリアアップを実現したBさんの例

マレーシアに就職したBさん(31歳男性)の例を見てみましょう。日本では食品加工メーカーの営業としてキャリアを積んできたBさんは、マレーシアのクアラルンプールで製造業の販売子会社で仕事をするようになりました。

クライアント先は日系企業であるため、日中の商談は日本語で行うのがメインになります。しかし、一緒に営業に同行する同僚はマレーシア人で彼との会話は当然英語です。また、彼は4名のマレーシア人の同僚のマネジメントも行っており、彼らとの会話や社内の各関係者との会話も英語になります。

2年間のマレーシアの業務でBさんはの英語力は飛躍的に伸びました。また、英語での業務遂行能力、マネジメント能力も大きく向上しました。そして現在は、別の企業にヘッドハンティングされ、営業課長としてキャリアアップを果たしています。

給料は当初の1.5倍となり、日本で働いていた給料を超えました。今後もマレーシアでキャリアップをしながら、将来的にはシンガポールでよりグローバルな仕事をして世界を飛び回りたいとおっしゃっていました。

 

6.まとめ

ここまで、アジア就職をすることによるメリットを「①英語力の向上」と「②キャリアアップ」の視点で見てきました。アジア就職は、単にTOEICのスコアを向上させるだけでなく、英語による本物のコミュニケーション能力を得ることができる上に、5年後10年後を見据えるとキャリアの可能性を広げる選択であるということが理解できたのではないでしょうか?

海外就職、特にアジアでの就職は皆さんが考えているよりハードルは高くありません。特に20代、30代のビジネスパーソンにとってはキャリアの選択肢に加えることをおススメします。2年前、今回ご紹介したBさんに話を聞いた時、彼は現在の仕事に少し飽きを感じていて、停滞してい感じがあるとおっしゃっていました。また、今後の会社と自分のキャリアについて漠然とした不安を抱えていて、自信を失っているように感じました。しかし、その後のBさんとお話を際に、彼からは静かな自信と将来への明るい展望を抱いていることを感じました。

 

7.海外就職の全てがわかる無料動画講座

もしあなたが、アジアを中心とした海外就職に興味を持たれたのであるならば、ぜひ、下記の全13回無料動画講座をご覧になっていただければと思います。この動画をご覧になっていただければ、海外キャリアコンサルタントの岡本がアジア各国30社以上に人材紹介会社を廻り、のべ200人以上のアジアで働く日本人にインタビューをして知ることができた失敗せずにアジアで働くための秘密を無料でお伝えします。この動画をご覧になることで、海外就職のメリットだけではなく、具体的なステップや失敗しない海外就職の方法についてよく理解することができるでしょう。

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岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒