フィリピンの就職・転職で求められる職種・求人状況
1.フィリピンの経済状況及び産業の状況
上記はASEAN諸国のGDPの推移です。フィリピンは下から2番目の青の太字になります。ASEAN諸国内で第2位の1億人を超える人口を持つ国としてはGDPはそれほど大きくはありません(インドネシア2.6億人、タイ7千万人、マレーシア3千万人、シンガポール5.5百万人、ベトナム9千万人)。
1人当たりGCPを見るとそれがよくわかると思います。既に1万ドルを突破しているシンガポールとマレーシアなどと比べて、フィリピンの1人当たりGDPは今だ2千ドル台に留まっています。一方でフィリピンは貧富の差が大きいことで知られている国です。マニラやセブなどの都市部には大型のショッピンモールが多数あり、人々の購買意欲も旺盛です。
直近のGDPの成長率を見ると近年のフィリピンは6%〜7%台と好調を維持しています。これは2010年に大統領に就任したアキノ大統領の功績が大きいと言われています。腐敗していた政府をある程度立て直し、世界からの投資が来始めています。国内の消費も堅調で今後の成長が期待されます。
フィリピンの産業構造を見ると、農林水産業が11.1%、鉱工業が32.1%、サービス業が56.9%となっており、サービス業の占める割合が大きくなっています。詳細な内容を見ていくと、鉱工業の中で製造業の占める割合が22.1%と最も大きく、5.5%の建設業が続きます。ただ、製造業の全体に占める割合は、タイやシンガポール、マレーシアといった、製造業が盛んな他のASEAN諸国よりも低くなっています。またサービス業内では、商業が16.7%、住宅不動産が11.0%、輸送・倉庫・通信関連が7.7%と続きます。需要部門で民間消費が大部分を占めるフィリピンですので、サービス業もバランス良く盛んです。
2.フィリピンで求められる業種及び職種
フィリピンでの就職を考えた場合、首都である「マニラ」か、国際的なリゾート地であり、英語の語学学校が集中する「セブ」のどちらかが有力です。ここではマニラとセブに分けて、それぞれの都市で求められる業種及び職種をご紹介します。
マニラで求められる業種及び職種
首都であるマニラで求められる業種は製造業が中心ですが、幅広い業種、職種で求人があります。また、求人数も多く、職種としては製造業、商社における営業職が一番多くなっています。次に事務職、カスタマーサービス等の職種も需要が大きいです。下記がその詳細になります。
セブで求められる業種及び職種
セブは、国際的なリゾート地であり、英語の語学学校が集中しているため、求められる業種や職種に特徴が見られます。具体的には①語学学校スタッフ②オンライン英会話スクールスタッフ③BPO系の仕事(コールセンターなど)が多くなっています。そのため、職種としてはオンラインや対面でのカスタマーサービスの仕事が多いです。またリゾート地であるため、ホテルやダイビングショップなどのリゾート関係の求人も一定数あります。
3.フィリピン就職で求められる語学力・コミュニケーション能力
(巨大なショッピングモールの「モール・オブ・アジア」(マニラ)ではスケートリンクもあります。)
フィリピンの公用語はマニラ中心で話されている「タガログ語」とフィリピン全土で通じる「英語」です。そのため、フィリピンで就職をしようとした場合、ある程度の英語力は必要になります。ただ、営業やコールセンターなどのカスタマーサポートなどでは、相手が日本人あるため、求められる英語のレベルはそれほど高くはありません(社内の共通言語は英語ですが)。求められる英語力はシンガポールやマレーシア、香港などより低く、TOEICで言うと550点レベルでも就職先は見つかります。ただ、現地スタッフと納期や仕様についてのやり取りをしようと思った場合、TOEIC700点レベルの英語力は合った方が良いでしょう。英語環境でありながら、入り口では英語力はそれほど要求されないため、英語を学びながらレベルに合った職場や仕事を選べるという点でもフィリピン就職は魅力的だと思います。
タガログ族の言語は「タガログ語」でセブアノ族の言語は「セブアノ語」でそれぞれ異なった言語を話します。「英語」は全土で話されるため「共通語」の役割を果たしています。
4.フィリピンの就職・転職・求人についてリサーチした所感
フィリピンは人口約1億人を抱え、毎年堅調にGDPが伸びていてこれからの発展が非常に楽しみな国です。まだまだ1人当たりGDPはASEAN諸国内では低いのですが、中間所得者層も育ってきており、市場としての魅力も増してきています。さらに英語が公用語でありながらも、職種によっては(入り口では)高い英語力も求められないので海外就職初心者であっても入りやすい環境となっています。次の記事で記すように平均的な給料や待遇は他のASEAN諸国よりも少ないのが現状ですが、今後の可能性と敷居の低さから十分魅力的だと思います。
また、求人数の多いマニラとセブの両都市では、業種や職種、給料などの待遇、さらには生活環境はかなり違います。そのため、就職する際には転職エージェントへ相談して十分に情報を得た上で検討した方が良いでしょう。