海外インタビュー

転職エージェント訪問記:【マレーシア(クアラルンプール)】REERACOEN MALAYSIA

1.REERACOEN MALAYSIA 会社概要

REERACOEN MALAYSIA

売上高180億円、アジア8カ国に拠点を持つ人材紹介会社ネオキャリアグループの一員。
2014年11月よりマレーシアに進出。社員12名

住所:Suite11.02 Level11 Menara Weld,76,Jalan Raja Chulan Malaysia, 50200 Kuala Lumpur
電話番号: +60-17-756-1688

2.内藤兼二(代表取締役)

マレーシアの転職エージェント REERACOEN 内藤さん
1982年生まれ。2006年にリクルートキャリアの人材紹介部門に入社。採用、営業などを経験し、2010年上海、蘇州、天津、大連で支社の立ち上げに参画。中国全体の企画部門責任者を就任。2013年には同社のベトナム現地法人の事業立て直し、タイ現地法人の立ち上げを主導。2014年4月に本社に帰任。同社就職Shop首都圏の責任者に従事。しかし、アジアで活躍をしたいという思いからリクルートキャリアを退職し、2015年1月からネオキャリアに入社。マレーシア現地法人の立ち上げ責任者に。2014年11月に会社登記し、代表取締役に就任。オフィスを2015年3月に開設。

3. マレーシアにおける直近の経済状況、及び日本人の仕事内容について

岡本: 最近のマレーシア経済はいかがでしょうか?
内藤さん:マレーシアの通貨であるリンギット安が続いていて、マレーシア経済は好調とは言えませんね。今年導入された消費税によって個人消費は減退していますし、ナジブ政権に対する政治不信の影響も出ていると思います。唯一、建設部門がGDPを引っ張っている状況です。

岡本:日系企業の動向はいかがでしょうか?
内藤さん:調子が良いのはローカル向けの業務中心の企業ですね。一方で日系企業向けが中心の企業は厳しいところも多いかもしれません。近年、マレーシア人の消費の傾向は変わりつつあり、レジャーや健康によりお金をかけるようになってきています。この辺りの需要を取り込んでいる企業は伸びていると思います。

岡本:日本人採用の業種、及び職種はどのようになっていますか?
内藤さん:ざっくりとして説明ですが、下記のようになっています。

マレーシア 求人状況

内藤さん:製造業のイメージの強いマレーシアですが、人件費の高騰により製造業は縮小傾向です。しかし、その他の業種での求人が増えてきています。特にMSCステータスの税制優遇を受けているIT産業については外国人のビザ発給が無制限ということもあり、求人数が多い分野です。BPO分野(※1)での日本人ニーズも旺盛となっています。さらに日本から飲食などのサービス業も入ってきており、多様な業種、職種で日本人が求められています。

※1 BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
…自社の業務プロセスを外部企業に委託すること。業務の一部を一括して外部に任せることで、委託側は自社のコア業務に専念することができる。

4.日本人の就職状況、及び日本人的働き方について

岡本: 日本人求職者の就職状況はいかがでしょうか?
内藤さん:日本人に対するニーズは高いですね。先ほど、マレーシア経済はあまり芳しくないと申し上げましたが、マレーシアには日本人的な働き方をする人が少ないので、そのような人材はとても重宝されるのです。特に日系企業では、マレーシア人をそのような日本人にリプレイスしたいという会社が多いですね。

岡本:日本人的な働き方が出来る人材とはどのような人材でしょうか?
内藤さん:一言で言うと「生産性が高く、成果にコミットメントできる人材」です。下記の図を見ていただけるとわかりやすいと思います。

マレーシア 転職 求められる人材像

内藤さん:仮に一日の通常の労働時間が10時間、生産性が10/時間、パフォーマンス(成果)が100としましょう(10時間×10=100)。ここで、スキルが低いマレーシア人がいたとして、彼の生産性が8/時間とした場合、10時間働いた時のパフォーマンスは80となります。この場合、彼にとって10時間は固定ですので残業やパフォーマンスを上げる努力は期待出来ないかもしれません。しかし、日本人はパフォーマンス(成果)にコミットメントする人が多い。仮にスキルが低い日本人がいたとして、生産性が8/時間だったとしても、労働時間を調整するなどして、求められるパフォーマンスを維持する働き方が期待できます。また、努力を惜しまない優秀な日本人は生産性を上げて、より大きなパフォーマンスをあげ方も多いのです。このような働き方を出来る日本人を、多くの企業が求めています。

岡本:具体的に求められる人物像はどのような方でしょうか?
内藤さん:30歳前後で、企業が求める業界出身者がベストですが、そういう人材はなかなか転職市場に出てきませんから、若い人を採用して育てようとする企業が多いですね。ビザの要件を考えると27歳以上で大卒、社会人経験があると良いでしょう。

5. 成長を求めてマレーシアに来てほしい

岡本:どのような人がマレーシアでは求められていますか?
内藤さん:マレーシアはタイと比べて遊ぶ場所が少ない印象です。そのため、仕事以外で自己研鑽に時間を使える人が良いと思います。マレーシアは多民族国家であり、学ぼうと思えば英語、中国語、マレー語を勉強することができます。むしろ自己成長を求めてくる人でないと難しいかもしれません。また、物事を他責にしがちな人は難しいかもしれません。他のASEAN諸国と比べて発展の進んだマレーシアですが、まだ整っていない部分があったり、仕事のやり方が日本と違ったりして戸惑うことも多いと思います。そのような時、自分の責任で動ける人が求められるのです。また、実務的には車の運転が出来ることを条件に挙げる求人も多いです。マレーシアは車社会ですので、移動に車は必要になってきます。

岡本:これまで仕事で海外畑を歩まれてきた内藤さん自身、どのような気持ちで海外に飛び出したのですか?
内藤さん:大きく二つの理由がありますね。一つは【強い危機感】です。私の海外キャリアは中国でスタートしましたが、中国人は向上心が強く日頃からよく勉強していて、成長意欲やハングリーさもありました。一方、日本国内は少し”なぁなぁ”な雰囲気があったと、当時を振り返ってみて思います。今後、縮小していく日本市場において、個人としても負けてしまっては未来がありません。そのような危機感があったのだと思います。

岡本:なるほど。もう一つの理由とは何でしょうか?
内藤さん:もう一つは純粋に【楽しい】ということです。私は海外で、成長しようという向上心をもった人たちと一緒に【冒険】するようなつもりで仕事をしています。日本では、良くも悪くも未来へのレールが見えています。それに私は「この仕事、自分じゃなくてもできるよな」と思いながら仕事したくなかったのです。しかし、海外で仕事するのにレールなんてものはありません。まだまだ成長していくマーケットで彼らと冒険することを私は選びました。

6.インタビューを終えて

内藤さんとお話をしていて、冷静で論理的な部分と、アツくて青臭い部分を併せ持つ人のように感じました。そして後者の面でとても共感しました。内藤さんが海外に出てきた理由として【強い危機感】【楽しい】【冒険】という言葉が出てきましたが、これらの理由は僕も、海外を拠点に生活や仕事をしていることと全く同じです。是非、次回は一緒に飲みにお誘いしたいと思いました。内藤さん、その時は宜しくお願いします(笑)。

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岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒