海外インタビュー

【マレーシア・クアラルンプール(矢野さん)】一流の同時通訳を目指す!超戦略的な海外就職のお手本!

今回インタビューをさせていただいた矢野さんはマレーシアのクアラルンプールで通訳・翻訳担当として日本とマレーシアの合弁アニメ制作会社でお仕事をされています。日本でも超話題の「シドニアの騎士」を制作している会社です。僕も見ましたが凄いクオリティでビックリしました(ちなみにエンディングのテロップには矢野さんの名前が掲載されています。)。そしてそこで活躍されている矢野さんもかなり凄いです。何が凄いかというと超戦略的に海外就職を手段として使っているんです。これから海外就職をしようとされている方は必見です。ちなみに彼は複数の電子書籍を出版されています。シンガポール・マレーシアでの就職活動についての書籍やマレーシアの国内情報についての書籍です。私も購入させて読みましたがとってもまとまっていて面白かったです。この記事を読んで興味を持たれた方は是非読んで見て下さい。
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1.通訳になりたくて通訳学校を出たものの仕事がない。。というわけで、インドにて翻訳・通訳として就職しました。


岡本:矢野さんは現在マレーシアで通訳、翻訳としてお仕事をされているとのことですが、マレーシアに来る前はインドでお仕事をされていたと伺いました。どのようなキャリアを歩いていらっしゃったんですか?

矢野さん:僕は元々学校の英語の教師をしていました。でもどうしても通訳になりたくなって通訳学校に2年間通ったのですが、2年勉強しても実務経験がないので仕事がなかったんですよね(苦笑)それでどうすれば通訳・翻訳としてキャリアをスタート出来るかを考えて調べているうちに、インドの会社なら就職できるかも?とふと思いつき、履歴書を送りました。すると一社目で採用されました。たぶんほとんど日本人の通訳・翻訳の応募者がいなかったのだと思います(笑)。通訳・翻訳としてのキャリアを「0」から「1」にするために、インドで就職しました。この会社(IT関連)で2年間ほど仕事をした後、マレーシアとシンガポールで就職活動をして3社の内定を得ました。それで通訳の仕事を一番任せてもらえそうな今のマレーシアの会社を選びました。

岡本:なるほど。矢野さんには今後の目標や夢はあるのでしょうか?

矢野さん:最終的な目標はフリーランスの通訳として稼動して、例えば国際会議に呼ばれるレベルになることです。ただそこに辿り着くためには、まだまだスキルや経験が足りないです。現在のアニメの制作会社では通訳をメインにやらせてもらっていますが、まだまだ国際会議で同時通訳が出来るまでの実力はありません。会社内での仕事は全体の背景や業務内容を把握しているので大体は同時通訳も可能なのですが、それらを把握していない一般的な会議での同時通訳はまだ難しいですね。

2.自分は通訳・翻訳の世界ではメインストリームを歩いてはいません。だからこそ歩むべき道があり、僕にしかできないことがあるはずです。


岡本:矢野さんは自分の強みと弱みを把握して長期的な観点に立って将来の方向性を決め、それを実行していますね。

矢野さん:通訳業界ですと、なんとなくの印象での話ですが、例えば金融系とか法律系などで現場経験がある人が、同じような背景の会社で通訳として仕事をするパターンか、ちゃんとした日本語力もある英語圏帰国子女、というパターンが多い気がします。ただ、それだけでは駄目で通訳学校に通ったり、海外の通訳翻訳大学院に進学するケースがメインストリームだと思います。
ただ、私は帰国子女のような英語力も無いし元教員なので、関連する現場もほとんどありません。通訳学校時代に講師から「あなたなら何とか現場でもやっていけそうなんだけどねぇ・・・」と(多分リップサービスで)いわれながらも、仕事がない。結局そのメインストリームに乗ったままでは、自分の場合はちょっと時間がかかりすぎるなぁと感じ始めたんです。自分は通訳・翻訳の世界ではメインストリームを歩くのは難しい、でもだからこそどうしようかなって考えて、選択をしました。

岡本:具体的にはどのようなことでしょうか?

矢野さん:競争が激しい業界なので、私のような普通の日本人や後から初めた人がメインストリームでやっていくのは、ちょっと難しいのです。そこにはベテランや実力者がたくさんいますので。だからいきなりゴールを目指すのではなく、むしろ一見遠回りでも人が進まない道(インドとか)を進んで段々ゴールに近づいていく方が良いこともあると思います。多くの人がやらないところにチャンスがあります。

岡本:なるほど。でも大変ではありませんか?

矢野さん:やれない理由を挙げるのは簡単です。でも結局は「やりたいのか?」「やりたくないのか?」という問いを自分にしてみてやりたいと思うならばやるべきなんだと思います。みんな格好良くやろうとしすぎなんです。自分はあくまで後発で、もっとスキルの高いベテランや実力者がゴロゴロいます。まずはその土俵を避けて自分が戦える場所を見つけて、そこで経験と実力を積めば良いのだと思います。

3.通訳をするならマイノリティの中で仕事をするという経験をすべきだと思います。


矢野さん:例えば通訳の実力者でもイギリス訛りの強い英語は難しいという方もいらっしゃいます。インドイングリッシュもそうですし、シングリッシュ(シンガポール訛りの英語)もそうです。マレーシアの英語も独特です。文法が適当なので、時制が突然過去系から現在系に、そしてなぜか過去完了になったりします。そのような英語は、適応するのに少し時間がかかります。でも僕はそこで仕事をしてきてますので、なんとなくそういうのは文脈とかで言いたいことが分かるんですね。今後、ビジネスの世界ではそういった英語ノンネイティブがもっとに力を持ってくるので、それに対する慣れがあるというのは、経験として悪くないと思っています。

岡本:そうですね。ビジネスで言うとアジアでの活躍の場は今後増えていくと思います。

矢野さん:また僕のように海外を渡り歩いていると常に自分がマイノリティとして仕事をすることになりますが、僕は通訳をするなら自分がマイノリティになる経験がある程度必要だと思っています。なぜなら例えば日本でのビジネス会議の場では、通訳対象が外国人ひとりで、周りは日本のおじさんばかり、といった感じが多そうではないですか。そういった中で、相手がどう感じるかというのはその立場にならないと分かりません。私はインドでは、社員が1400人いる開発センターで日本人が一人という状況でした。そういう場面でどう感じるか、ある程度想像がつきます。これを逆の日本に住む外国人の立場で考えてみましょう。インドでも私は英語がしゃべれたから大丈夫ですが、外国人にとって英語ができない日本人に囲まれる日本での生活は、楽ではないと思います。そんな中、通訳が目の前の人の気持ちを想像しながら話をして、一緒に仕事をする中で相手との信頼関係を築けると、通訳の仕事の質も上がると思います。また、インドやマレーシアで生活をした経験があるので、食習慣や宗教など、日本に住んでいたら分からない点なども分かります。ちょっとした気遣いが出来るだけでも、通訳対象との接し方や仕事の質は大きく変わると思います。

4.キャリアはその人の生き方そのものだと思います。


岡本:すごいですね。そこまで考えて海外でのキャリアを歩んでいる人に初めて会いました。

矢野さん:最初はあんまり考えてないんですけどね(笑)ただ、ある意味でキャリアはその人の生き方そのものだと思います。計画的、戦略的に作っていくべきです。でもそれだけではなく、偶然性も生かしながら自分らしいキャリアを作っていけば良いと思います。

岡本:まだ暫くマレーシアでお仕事をされるのですか?

矢野さん:実はシンガポール辺りに移ることも考えていました。ただ、今の会社でやりたい仕事がまだ残っていましたし、会社からも残ってほしいという打診を受けました。それで会社と給料などを交渉した結果、まぁもう少しなら残ってもいいかなと思いました(笑)。社内でも、僕の力と仕事ぶりを評価してくれた人がいて、そういった人の後押しがあったのかもしれません。

岡本:さすがですね。しっかりしてる(笑)。

矢野さん:そもそも、マレーシアで日本人で通訳の仕事が出来る人はとても少ないので、そのような希少性も評価されたと思っています。あと、僕は常に他国の通訳業務の仕事の相場もウォッチしていますので、「シンガポールに移ればこれくらいで、インドならこれくらい」という相場観も出しながら交渉しました。こういったことはインドでの経験がものをいいました。あそこではサバイバル能力がつきましたね(笑)。

岡本:矢野さんの最終目標は何ですか?

矢野さん:最終的には通訳市場が一番大きいのは結局日本なので、日本で働きたいと思っています。でもその前にシンガポールの大手日本企業で通訳の仕事をする事を検討しています。そこで2〜3年仕事すると、自分も通訳・翻訳の業界で少しはメインストリームに戻ってきた感が出てくるのではないでしょうか。そこでキャリアを積めば日本での通訳の仕事も出来ると思います。最終的にはフリーの通訳として国際会議に参加するレベルに至ることですが、一歩一歩進んで行く感じですね。

5.今回のインタビューで感じたこと


読んでいただいた感じられたと思いますが、矢野さんのキャリアの描き方は非常に戦略的でしたたかです。あくまで海外就職を自分の夢や希望を叶える手段に使っています。しかし同時に彼の仕事のやり方からはプロフェッショナルとしての誇りも感じられました。普段の仕事ぶりが素晴らしいからこそ、今の会社に移れたと思いますし、待遇面の交渉も出来たのだと思います。

実はこのインタビューには続きがあります。矢野さんにはまだやりたいことが色々あるのですが、公表するにはまだ早いということでしたのでここでの掲載は差し控えたいと思います。矢野さんらしいというか、さすがだなという企画です。矢野さんのような海外でたくましく生きる日本人が増えてくると面白い世の中になると思います。

冒頭でも紹介しましたが、彼は複数の電子書籍を出版されています。インド・マレーシアでの就職活動についての書籍やマレーシアの国内情報についての書籍です。この記事を読んで興味を持たれた方は是非読んで見て下さい。また彼にプログのURLも紹介させていただきます。

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岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒