アジア起業家

世界を舞台にした旅の始まりをセブで支え続けてきた起業家・岡本琢磨氏が語る“海外で挑戦”する意義

こんにちは!
BEYOND THE BORDER ライターのペクです!

「縮小傾向にある日本市場でこのまま働き続けていいのだろうか」、「今の仕事だと、先のキャリアが見えなくて不安」・・・。
人口はどんどん減少し、経済成長もほとんどない日本で生活する中で、そんな悩みや葛藤を抱えている方も多いのではないでしょうか?

今回お話を伺った岡本琢磨さんも日本のコンサルティングファームで勤務していた頃、日本の中だけで問題の解決策を見出す限界を感じていたそう。
そんな岡本さんはより広い世界に目を向けるべく、夫婦で世界旅行に出たのを機に、大きく人生の舵を切ることになりました。

「世界を舞台にした冒険の旅に出る人々にとっての最初の場所を作り、サポートしたい」
自らが旅を通じて視野や価値観を広げ、多様な人生の選択肢に触れた経験を基に、世界旅行後にフィリピン・セブで語学学校を設立し、これまで1,200名にのぼる卒業生の旅の始まりをサポートし続けてきました。

そんな岡本さんが事業に掛ける熱い思いとは?
ご自身が世界を舞台にした挑戦を続ける中で感じた、“海外で挑戦する”可能性や意義とは?

日頃から真摯に人に向き合う岡本さんの背景に迫った今回のお話。
「世界を舞台に活躍しよう」と海外就職・海外起業をご検討の方はもちろん、何かに挑戦しようとする方にきっと勇気を与えてくれるはず。

是非ご一読下さい!

 

岡本琢磨さんとは?

セブの起業家 岡本琢磨氏

岡本琢磨さん プロフィール
大学卒業後、公認会計士としてコンサルティングファームに入社し、約6年間勤務。多様な会社規模・業界の企業に対し、上場準備から事業再生に至るまで幅広いコンサルティングサービスの提供に携わった後、1年間休職し、夫婦で世界旅行へ。旅を通じて抱いた「世界の素晴らしさを知って欲しい」、「日本人が世界で活躍する場所を作りたい」という思いから、フィリピン・セブで旅人たちの英会話スクール"CROSSxROAD"を設立し、これまで1,200人を超える卒業生を輩出。学校運営に携わる中で、世界一周やワーキングホリデー後のキャリアに悩む数多くの卒業生の相談に乗っていたところから、2015年5月に日本国内でビヨンドザボーダー株式会社を設立し、海外キャリアコンサルティング事業も同時に展開している。*当日伺ったお話を基に執筆。

 

夫婦でした世界旅行が人生の転機に。セブで起業した背景とは?

奥様と世界旅行中の様子

公認会計士の資格を活かし、コンサルティングファームでIPO(株式上場支援)から事業再生に至るまで幅広い事業に携わっていたという岡本さん。
ある日1年間休職し、夫婦で世界旅行に出たことが、今に繋がる大きな転機となったそうです。
世界旅行の中で一体どんな変化や気付きがあり、どのような経緯で起業に至ったのでしょうか?

 

── 岡本さんにとって世界旅行が大きな転機となったとのことですが・・・なぜ旅に出ようと思ったのでしょうか?

 

高校時代にアメリカに一人旅に行ったことがあり、その頃から「世界を自由に旅したい」という思いがありました。
仕事をする中でその思いがどんどん募っていって・・・。

それに、コンサルティングファームで事業再生に携わる過程で、人口がどんどん減り、縮小傾向の日本市場だけで解決策を見出す難しさを感じていました。
一方で、世界に目を向けるとアジアをはじめ、伸びている市場がたくさんあり・・・もっと広い世界を見たいと思うようになったんです。

 

── 元々世界を旅することに憧れをお持ちだった上、仕事を通して世界に目を向ける必要性を感じたんですね。

 

当時はちょうど妻が退職したところで、僕自身も32歳になろうとしていました。
ゆくゆく家族が増えることを考えると、「今しかない!」というタイミングでもありました。
ここで飛び出せば僕自身の人生が大きく変わることはもちろん、家族にとっても可能性を広げる旅になると思ったんですよね。

そこで、思いきって当時勤務していた会社に相談し、1年間休職して世界旅行に出ることになりました。
ここで「会社を退職して」と言えるとカッコよかったんですけどね・・(笑)。

 

── そんなことないですよ! 実際旅に出てみてどうでしたか?

 

世界各地で、国籍を問わず多様な生き方・考え方をしている方々と出会う、最高の時間となりました。
文字通り「旅をしながら働く」という生き方をしている方がいて、それが実現可能なんだと知ったり・・・。

その過程で、「好きな人と、好きな場所で、好きなように生きていい」ということに気付いたんです。
以来、僕ら自身が一番いいと思える生き方を選べるよう、旅を通じて模索していたところはありましたね。

 

── 様々な生き方や価値観を持つ人々と出会う中で、ご自身やご家族にとってベストな生き方を探していたんですね。答えは・・・見つかったのでしょうか?

 

旅が終盤に差し掛かった南米の国ボリビアにあるウユニ塩湖で、妻と今後について話し合う機会がありました。
当時僕らには3つの選択肢があって。

 

  1. 旅を続ける(1年間のうち3ヶ月がセブ留学、9ヶ月で訪問できた国は20ヶ国だったため)
  2. 休職中の会社に戻る
  3. 海外で自分たちの力で何か事業を立ち上げる

 

その中で僕らは3つ目の選択肢を選び、セブで日本人が英語を学ぶ語学学校を立ち上げることにしたんです。

 

── 数ある選択肢から、なぜセブで語学学校を立ち上げることにしたのでしょうか?

 

自ら事業を立ち上げるにあたり、「これから世界を舞台にした冒険の旅に出て行く最初の場所を作りたい」という思いがありました。
その思いを実現するためにどうすればいいのかを考えたとき、セブで語学学校を作ろうと思ったんです。

ウユニ塩湖にて

単純にセブが好きだったからというのが理由のひとつ。
あとは・・・旅が始まる前に長い時間人々が集まり、交流できるような場所を作りたいと思っていて。
ゲストハウスだと滞在期間は短くなりそうですが、語学学校なら英語を学ぶため、ある程度の期間滞在する場所にできるかなと思ったんです。

 

── 「世界を舞台にした冒険の旅に出ていく最初の場所を作りたい」、とても素敵な思いですよね! ところで、事業はすぐに軌道に乗ったのでしょうか・・・?

 

まずはセブで一軒家を1棟借りて、先生一人とスタッフは僕ら夫婦だけという形でスタートし、実績を作るために友人に来てもらうところから始めましたが・・・。
生徒がいなくて、夫婦二人で海を眺めているだけ、なんて日もありました(笑)。
世界旅行後だったので資金が途中で足りなくなり、恥ずかしながら両親に借金をしたこともありましたね。

起業してみて分かったことは、計画通りになんて行かないということ。
当然僕は公認会計士なので、事業を始める前に事業計画書もきちんと作り、ビジネスとして成り立つと思ったから事業を始めています。
ただ、実際は現地に飛び込み、手探りで進める中で方向性が見えてくる部分もたくさんありました。

 

── やはり最初は思い通りに行かないことも多く、大変だったんですね・・・。

 

「どんな学校を作ればいいのか」、「どんな風に運営すればいいのか」・・・。
当然僕ら夫婦も留学経験があり、頭の中でイメージはできていましたが、最初はどんな風に動けばいいのか全然分からなくて。
当時は今ほど日本人経営の語学学校があった訳でもなく、頼れる人もいなかったので、本当に「行き当たりばったり」という感じでしたね(苦笑)。

ただ、夫婦で始めたので少し楽観的に考えられたことに加え、戻れる場所があるという〝安心材料〟があったのは大きかったですね。
万が一上手く行かなくても、公認会計士としての資格やこれまでのキャリアで実績も残してきたので、日本で再就職すればなんとかなると思っていたんです。

有難いことに、目の前のことを地道に続けていく中で、生徒さんも増えていき、学校の規模も大きくなって・・・今に至ります。
(補足:一軒家1棟から始めた学校ですが、今では8棟の一軒家を借りて運営されています。)

 

「世界を舞台にした冒険の旅に出る方々をサポートする」現在の事業とその思いに迫る!

岡本さんが設立した語学学校"CROSSxROAD"には個性豊かな生徒やスタッフが集う
(岡本さんは写真左から2番目)

 

── 手探りで事業を軌道に乗せてきた様子がしっかり伝わってきました。改めてにはなりますが、現在の事業について教えて頂けますか?

 

フィリピン・セブで"CROSSxROAD"という語学学校を運営しています。
"crossroad"には「交差点」の他に、「人生の岐路」という意味があって。
名前の由来通り、世界一周やワーキングホリデー、海外就職など、目的を持った方々がここに集まって共に英語を学び、それぞれの道を歩み始める場所になっています。

日本人スタッフも基本的に全員生徒さんと寝食を共にし、英語以外にも様々な考え方・生き方に触れられるワークショップを通して、みんなで考える機会があったり・・・大変アットホームな学校です。

 

── このコンセプトや空気感、なかなか他にはないユニークなものですよね(注)! 起業当初の思いは「旅」をコンセプトにしていたと思いますが、ワーキングホリデーや海外就職のサポートを始めたのはなぜですか?

 

これもいろいろと模索しながら事業を進めていくうちに見えてきたものであり、最初から大きな戦略があった訳ではありません。
「旅」をコンセプトに学校運営を続けていると、卒業後にワーキングホリデーに行くという生徒さんも多く、そのニーズに応えるべくサポートし始めました。
ワーキングホリデーについては運営スタッフが経験者でもあり、彼らがいてくれたおかげで実現できた部分もありますね。

一方、海外就職については、卒業生や在校生のキャリアについて相談を受けることが増えてきたのがきっかけでしたね。

 

(注)著者は岡本さんの運営する語学学校の卒業生であり、スタッフでもあります。初めて留学したときに、この空気感の虜になり・・・現在に至ります(笑)。

 

── 「キャリアの相談」・・・ですか?

 

世界一周もワーキングホリデーもいずれは終わり、また働き始める訳ですが、どのようなキャリアを選ぶべきかに悩む方が多かったんです。
当時の僕はキャリアの専門家ではなく、そもそもキャリアの相談に乗ったことすらなかったので、最初は上手く答えられなくて・・・。

ただ、目が世界に向いていて、英語の勉強もされている方々なので、あくまで仮説として「海外で働く」こともひとつの選択肢になりうると思ったんです。
それを機に、アジア各国を訪問し、人材紹介会社や現地でお仕事をされている方にお話を伺い、現地の情報をひとつひとつ記事にまとめてブログで配信し始めました。
コーチングスクールに通ったり、キャリアコンサルタントの資格を取得したりしながら、集めた各地の情報を基にキャリアの相談にも乗るようになりましたね。

それが今のBEYOND THE BORDERの事業や書籍の出版にも繋がっています。

 

── 岡本さんが海外就職の専門家になった背景がよく分かるお話ですね。語学学校を運営しながら、海外就職の専門家としてもご活動されるのは大変だと思いますが・・・その原動力について教えて頂けますか?

 

事業を立ち上げたときと変わらず、「世界を舞台にした冒険の旅へ出る最初の場所を作りたい」という思いですね。
場所を作ることはもちろんですが、これから冒険の旅に出る方々に寄り添いながらサポートしたいと思っており、そこに携われているのが僕にとってのやりがいや喜びなんです。

 

── 「世界を舞台にした冒険の旅へ出る方をサポートする」というブレない思いが原動力なんですね。他に日々感じているやりがいや楽しさはありますか?

 

外的要因として挙げられるのが海外市場の可能性です。
冒頭でもお話しましたが、日本の市場は縮小傾向で、競争も激しい状態ですが、海外の市場ではまだまだ伸びしろのある国がたくさんあります。
東南アジアで、可能性の広がりを感じながら日々仕事ができるのはすごくいい部分だと思っています。

一方、内的要因としては、日本とは異なる環境で日々新しい学びや発見があり、視野や可能性の広がりを感じられることでしょうか。
旺盛な好奇心を満たせる環境に身を置けていて、日々楽しく過ごせています。

キャリア選択に際して、お金やステータス、市場自体の今後の可能性といった外的要因で選択をすることも大切です。
同時に、自己成長や好奇心を満たす喜びといった内的要因に目を向けることも大切で・・・。
海外で起業したことで、旅で到達したい目的(外的要因)を目指しつつ、その旅の過程(内的要因)もすごく楽しめていると思います。

 

── いつもイキイキとお仕事をされていて大変羨ましいです(笑)! 逆に、これまで大変なことや難しさはありましたか?

 

実は・・・キャリアや海外就職に特化した学校をもう一校設立しましたが、1年ほどで閉鎖したことがありました。
今はひとつの学校で世界一周・ワーキングホリデー・海外就職をサポートしていますが、英語学習へのモチベーションや留学後のキャリアに対する考え方がそれぞれ違うので、別のコンセプトでもう一校設立したんです。

海外就職がもう少し一般的になり、ある程度の集客が見込める段階で設立するのが筋だと僕自身も分かっていました。
ただ、僕の中でより厳しい状況から事業を軌道に乗せた経験があったので、今回も上手く軌道に乗せられるという過信から、甘く見積もってしまった部分がありました。
現実は・・・起業当初と違って、既にセブに語学学校が乱立しており、予想以上に難しかったですね。

従業員全員を"CROSSxROAD"に吸収し、事業として大打撃を受ける前に撤退できたものの・・・巻き込むことで不幸にしてしまった人はいて。
これが僕の中で一番大きな挫折となりました。

 

気になる今後と海外で働きたい方へのメッセージ


世界旅行で感じた旅の素晴らしさや旅を通した気付きを伝えるべく、これから世界へ旅立つ人々にとっての始まりの場所"CROSSxROAD"をフィリピン・セブに設立した岡本さん。
「世界を舞台にした冒険の旅に出る方々をサポートする」というブレない思いを原動力に、これまでセブで1,200人もの卒業生を後押しし続けて来られました。
途中葛藤した時期や苦しい時期もありましたが、挑戦したからこそ気付いたことや学んだこともたくさんあり、だからこそ今があるとのことでした。

そんな岡本さんは今後についてどのようにお考えなのでしょうか?
海外で働きたい方に向けたメッセージとともに、お話を伺ってみました!

 

── ご自身の今後についてはどのようにお考えですか?

 

「世界を舞台に自由に、自分らしく成長し続ける人生を家族とともに歩むと同時に、そう願う人をサポートする」
これが僕のブレない思いです。

その実現に向けた具体的な目標として・・・

  • "CROSSxROAD"がこれから冒険に旅立つ方々にとって、英語以外にもたくさんの気付きがあり、より密度濃い時間を過ごせる場所にしていく
  • 海外就職をサポートするBEYOND THE BORDERの事業をビジネスとして軌道に乗せる
  • 上記を実現するために、僕自身の影響力・発信力を強化する

 

を僕の中で掲げています。

 

── やはり根底にある思いは変わらないんですね。最後に、これから海外で働きたい方にメッセージやアドバイスをお願いします!

 

まず何よりも「自分をよく知る」ことから始めて欲しいと思っています。

日本の市場が縮小傾向にある一方で、海外に伸びしろやチャンスがある国がたくさんあるとはいえ、全員が海外で働くべきだとは思っていません。
「海外で働く」はあくまで選択肢のひとつであり、自分のありたい姿や生き方を実現するために必要な方が挑戦すればいいと思っています。
一方、自己成長や挑戦を続けることに喜びを感じる方にとっては、今後成長可能性の高い環境に身を置けるという外的要因と同時に、自身の内的要因も満たす選択肢として、是非チャレンジして欲しいと思います。

また、認知している外の世界に、心から「やりたい!」と思えることがある場合もあります。
視野を広げるためにも、何かしら挑戦を続けることはすごく意義のあることだと思っています。
挑戦したからこそ見えることや気付きもあり、そこで得た学びを基に少しずつ軌道修正しながら、僕自身も進んできましたし・・・。

 

まとめ

いかがでしたか?

「世界を舞台にした冒険の旅に出る方にとって始まりの場所を作り、サポートする」
起業当初からブレない思いを原動力に、ときに苦しい時期もありながらも今日まで進み続けてきた岡本さんの姿、とても素敵ですよね!
岡本さんご自身がこれまで様々な挑戦を続けてこられ、その経験を基に生徒や求職者の方に親身に寄り添う姿やそこに掛ける思いが少しでも伝わりますと幸いです。

また、在校生や卒業生の旅やワーキングホリデー後の進路相談に乗り始めたのを機に、これまでアジア各国を自らの足で訪問し、人材紹介会社や現地で働く方々にお話を伺ってきた岡本さん。
実際に現地を訪れ、ここまでたくさんの方々にお話を伺った方は他にいないと思います。
これから海外で働きたいと思っている方、日本で先細るキャリアに悩んでいる方、是非一度岡本さんに相談してみてはいかがでしょうか?
私自身も卒業生として何度もキャリア相談に乗って頂きましたし、きっと誰よりも親身に相談に乗って下さると思いますよ!

岡本さん、今回は貴重なお話をお聞かせ頂きまして、本当にありがとうございました!

*今回ご紹介した岡本さんが運営するフィリピン・セブの語学学校"CROSSxROAD"のHPは>こちら
*海外就職情報サイトBEYOND THE BORDERのHPは>こちら
*岡本さんの書籍は>こちら
*岡本さんのTwitterは>こちら

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Jiyoung Baek

セブ留学がきっかけで東南アジアの虜に!! フィリピン・セブでの海外インターンを経て、ベトナム・ハノイで海外就職。約2年に渡って大好きな東南アジアで働きながら、旅をする生活をしていました。 現在は自身の海外経験を基に、旅するインタビュアーとして海外で活躍する方々を取材し、「海外で働くとは」について発信することで、海外で働きたいけど一歩踏み出せない方に挑戦のきっかけを作るべく奮闘中。 どんなときもアジアの眩しい陽射しのような笑顔を忘れず、頑張っています! 日々大事にしていること「やらない後悔よりやって後悔、何でもやってみる!」