海外就職成功事例

司法試験合格後に新卒でインド就職!“希少性の高い”人材になるためのキャリア戦略とは?

「他の人とは違う強みを持った人材になりたい!」

今回お話を伺った新田荘作(にった そうさく)さんが、インドで挑戦することにした理由です。

新田さんは弁護士を目指して、大学・大学院に進学する過程で努力を重ね、見事司法試験に合格しました。
その後の進路としては、弁護士や裁判官、検察官としてのキャリアを歩み始めることが一般的。
一方で新田さんは、インドのコンサルティングファームで働くという、前例の少ない道を選びました。

将来的には弁護士業務も、一部がAIに取って代わられる可能性があると、危機感を抱いていた新田さん。
今後競争が激しくなることを踏まえ、周囲とは違う経験やスキルを身につける必要性を感じていたそうです。
その手段として選んだのがインドで働くことであり、現在も高みを目指して努力を続けています。

今回はそんな新田さんに、以下の3点についてお話を伺ってきました!

  • どのような意思決定プロセスのもと、インドで働く決意をしたのか
  • インド就職によって、どのような変化があったのか
  • 前例の少ない道を突きすすむ今、どのような心構えで行動を続けているのか

選んだ道で成功するために、高い向上心を持って奮闘する姿は、挑戦する背中を後押しするだけでなく、挑戦の先に立ちはだかる壁を乗り越えるための励みにもなるはず。
ぜひ最後までお読みください!

*本文中の一部お写真は、新田さんご本人からいただいたものです。

新田荘作さん プロフィール
幼い頃から弁護士を志す。京都大学法学部を卒業後、一橋大学法科大学院へ進学。大学院修了後に司法試験を受験し、合格を果たす。一時は弁護士事務所を中心に日本で就職活動を行ったが、より希少性の高い人材を目指して、海外就職を決意。就職活動の末、2019年10月にインドの外資系コンサルティング企業に就職し、現在に至る。
*当日伺ったお話をもとに執筆。

 

インドで働くことにしたのは、「他の人とは違う強みを持った弁護士になりたい!」という思いから

大学時代の新田さん

 

── 司法試験合格後にインド就職、とてもユニークな経歴ですね! 弁護士を志したきっかけについて教えていただけますか?

 

中学時代、法廷で裁判を傍聴したのがきっかけです。
法廷に立って弁論する弁護士の姿を見て、とてもカッコいいと思ったんです。
単純な理由ではありましたが、当時抱いた憧れの気持ちを実現させることにしました。

ただ、そこに至るまでは、大学・大学院入学前に浪人するなど、長い道のりがありました・・・。

 

── 大変なこともたくさんありましたよね・・・! なぜ、弁護士になる道を選ばないことにしたのでしょうか?

 

一時は弁護士事務所を中心に日本で就職活動を行いましたが、「他の人とは違う道を選んでみたい」という気持ちが、徐々に強くなってきたからです。

大学・大学院と進学する過程で、同じ道を志す優秀な仲間たちとたくさん出会いました。
一方で、弁護士の仕事はいずれ一部がAIに取って代わられ、競争が激しくなるだろうと思っていました。
そうなったとき、もしかしたらぼくは、周りの優秀な仲間たちに勝てないかもしれないと、不安を抱いていたんです。

少しでもその不安に打ち勝つためにも、他の人とは違うスキルや経験を身につけた方がいいと思っていました。

 

── 周りの人とは違う選択をすることへの不安はなかったのでしょうか?

 

もちろん不安も恐怖もありましたが、チャレンジしたい気持ちの方が勝りました。
一度周りと同じような道を選んでしまうと、その後はきっとしがらみが増え、思いきった挑戦はできなくなると思ったからです。

また、就職活動を通して約20〜30社の法律事務所を訪問しましたが、なかには一般企業などで経験を積まれた後に、弁護士としてご活躍されている方たちもいらっしゃいました。
そのような先輩たちの姿を見て、ぼく自身も、法律の知識に加えて、さまざまなスキルや経験を身につけた、魅力的な弁護士になりたいという思いがますます強くなりました・・・!

 

── そこで、海外に目を向けたのはなぜですか?

 

もともとアメリカへの憧れが強く、アメリカに行きたいと思っていました。
大学時代にアメフト部に所属しており、毎日YouTubeでアメフトの動画を見ていましたし、アメリカ人のコーチにも出会いました。
アメフトを通して、日本とは違うアメリカの文化や考え方を知れることがとても刺激的だったんです。
それに、幼少期にイギリスで生活した経験もあり、いずれは自分の強みである英語を仕事がしたいと思っていました。

ただ、何か“特別な”スキルや経験を身につけるという観点だと、他の日本人弁護士が行かないような国に目を向けるべきだと思いました。
幸いにも、ぼくは長年スポーツを続けてきて、周りの人たちよりも身体は丈夫だと自負しています。
その強みを活かして、まだ前例のない中南米やアフリカでチャレンジすれば、何か道が拓けるのではないかと思いました。

 

── 最初は中南米やアフリカを視野に入れていたのですね! なぜインドで働こうと思ったのでしょうか?

 

残念ながら、アフリカや中南米には新卒で応募できる求人がありませんでした。
ちょうどそのとき、登録していた人材紹介会社から連絡をいただき、インドで働くという選択肢を知りました。

日本で就職活動をしていたとき、インドビジネスが今後重要になってくると感じていました。
訪問した事務所にインドビジネスに関する本が並んでいる様子をよく見かけたからです。

一方、インドにいる日本人弁護士はまだそこまで多くありません。
そこに自分が先駆けて飛びこめば、人材としての価値が上がると思ったんです。

 

「法律」×「会計・税務」×「インド」を掛けあわせた、希少性の高い人材を目指して奮闘中!

オフィスの近くにあるローカルフードのお店で

 

── 現職を選んだ理由について教えていただけますか?

 

最初はインドの法律事務所で勤務したいと思っていましたが、想定していたほど求人がありませんでした。
代わりに紹介してもらったのが、会計事務所とコンサルティングファームの求人だったんです。
どちらも租税法や会社法など、今まで培ってきた法律の知識を活かせる点で魅力的だと感じました。

同時に、人材紹介会社の方との面談の中で、それだけでは志望動機として弱く、将来のビジョンについても考える必要があると言われたんです。
そこで、将来どのような弁護士になりたいかをもう一度じっくり考えました。

・インドビジネスに精通し、英語でビジネスができる
・適切な会計や税務の知識を持ち、会社の経営についてアドバイスができる

これまで培ってきた法律の知識を活かしながら、以上の2点を、新しく自分の強みとして磨いていくことで、より魅力的な弁護士になりたいと思いました。
そこから新卒でもチャレンジできる、会計事務所やコンサルティングファームを中心に選考を受け、縁あって現職の会社に入社しました。

 

── 現在のお仕事について教えていただけますか?

 

インド系のコンサルティングファームで、インドに進出している日系企業が円滑に活動できるようサポートしています。
具体的には、インドのルールに則った財務諸表の作成、税金や労務に関するアドバイスなどに携わっています。

なかでもぼくは、お客様である日系企業様と弊社インド人専門家との橋渡しのような役割を担っています。
ビジネス・法律・税務・会計などの知識が万遍なく求められるため、勉強に追われる毎日です。
また、電話やメールを含め、業務の約6割が英語で行われており、英語のスキルも大きく伸びたように感じています。

 

── 充実した毎日を過ごされている様子が伝わってきました。必要な知識を習得するために心がけていることはありますか?

 

業務の中で、付加価値をつけることを意識しています。

単にお客様からのお問い合わせに回答するだけでなく、その他に+αで必要となる情報も伝えるように意識しています。
そうすることで、お客様にも貢献できますし、自然と調べて準備することが増え、たくさんの知識を得られるので、自分の成長にも繋がると思っています。

そのおかげか、最近では少しずつお客様の期待に応えられていると感じる場面も増えてきました。
「日本とインド両方の法律に精通している人がいて頼もしい」という言葉をいただくなど、やりがいも感じています。

 

── お客様の言葉、励みになりますね! 「インドで働く」という観点ではいかがですか?

 

インドの文化に触れ、日本との違いを理解できるようになったことが嬉しいです。
インドに来てから、信じられないようなこともたくさん起こりましたが、出来事の背景に目を向けると、文化の違いがあって面白いんです。
ただ「腹が立つ」で終わらせずに、背景に目を向けることが大切だと気づきました。

また、仕事以外でも考えさせられることが増えました。
インドには貧富の格差があり、貧困層には、幸せな人生を送るためのビジョンさえも描けない人たちがたくさんいます。
それに対して、ぼくは自分の置かれた環境がいかに恵まれているのかに気づきました。
だからこそ、自分の幸せだけを追いもとめるのではなく、社会に貢献する意識や責任感を強く持つようになりました。

日本にいたらきっと気づかなかったことばかりなので、改めてインドに来て良かったと思っています。

 

── 何か大変なことはありますか?

 

知識量も語学もインド人スタッフにまったく敵わず、もどかしい思いをしています
英語では日本語と同じような精度では条文を読めず、必要な条文を探すのも一苦労です。
一方で、ぼくよりはるかに若いインド人スタッフが、手早く英文の契約書を作成したりしています。

このような環境が刺激的であると同時に、申し訳なさや居心地の悪さも感じています。
彼らの方がはるかに優秀であるにもかかわらず、日本人であるぼくの方が高い給与で雇用されているからです。
また、日本人のお客様とインド人スタッフを繋ぐぼくの仕事は、言葉の壁があるからこそ成り立っているとぼくは思っています。
このようなビジネスはいずれAIに取って代わられると考えると、このままではいけないと焦りを感じます。

インドに来る前は、インド人の専門家と同じ土俵で戦えるようになるんだと意気込んでいましたが、理想とはまだ程遠いのが現実です。

 

── 新田さんなら、きっと大丈夫ですよ! 大変なときでも、インドで頑張れる原動力について教えていただけますか?

 

インドに行くと決心したとき、親兄弟はもちろん、友人たちも快く送りだしてくれました。
だからこそ、応援してくれている方たちの期待に添える人でありたいと強く思っています。
また、これまで日本で切磋琢磨してきた仲間たちからも、引き続き刺激を受けています。

それに、前例が少ない道を選んだからこその焦りもあります。
日本に帰国したとき、日本で頑張ってきた人の方が、ぼくよりはるか先を走っているとしたら怖いんです。

パイオニアのような存在になろうとインドへ来ましたが、数年先もインドでの経験に希少性があるかは分かりません。
事実、最近インドには優秀な日本人弁護士が増えているとも聞いています。
弁護士業務の一部がAIに取って代わられたとき、自分だからこそ発揮できる価値を持っておく必要があると思うんです。
そのために、法律やビジネスに関するアドバイスの質を上げることはもちろん、人脈づくりや人間としての魅力をもっと高めていく必要性を感じています。

 

気になる今後と海外で働きたい方へのメッセージ

 

── 高い向上心を持って、自分を奮い立たせる姿が印象的なお話でした。今後についてはどのようにお考えでしょうか?

 

インド就職を決断したときと同様に、独自の強みを持つ、優秀な弁護士になりたいと思っています。
今後もっと会計や税務に関する理解を深め、より高いレベルで経営に関するアドバイスができるようにしていきたいです。

そのためにも、インドでやるべきことが山積みなので、しばらくはここで腰を据えて頑張ろうと思っています。

 

── 最後に、海外で働きたい方へのメッセージをお願いします!

 

「迷っているなら飛びだそう!」と言いたい気持ちと、「多少の勝算があった上で飛びだした方がいい!」とアドバイスしたい気持ちで揺れ動いています。
間違いなくひとつ言えるのは、「海外=幸せ」という訳ではないので、情報収集を怠らず、きちんと自分の目で見極めた上で決断してほしいという点です。

そこで、もし海外で生きる道を選ぶなら、その選んだ道が正しかったと言えるように、自分が納得するまで努力することを忘れないようにしてほしいと思います。
他の人とは違う道を選んだ場合に、その道で成功しようと思うなら、普通のエネルギー量ではきっと足りません。
インドで出会った先輩たちがそうであったように、常に向上心を高く持って仕事と向きあうことは本当に大切なことだと日々実感しています。

ぼくも負けじと、向上心を忘れずに、今後もっと自分を成長させていきたいと思います!

 

まとめ

いかがでしたか?

他の人とは違う経験、スキルを身につけるために、インドで働くことにした新田さん。
応援してくれる家族や友人、一緒に切磋琢磨してきた仲間への感謝を忘れず、高い向上心を持って進む姿が印象的でした。

「他の人とは違う道を選んだ場合、その道で成功しようと思うなら、普通のエネルギー量ではきっと足りない」
司法試験合格後にインドに新卒で就職することは前例の少ないことで、新田さん自身も不安はあったそうです。
選んだ道が正しかったと言えるよう奮闘する新田さんの姿から、私も大変刺激を受けました。

新田さん、今回は貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました!
今後のご活躍を心より応援しています。

無料!!英語が苦手でも海外就職を実現する人が続出!海外就職・キャリアプラン構築セミナー 詳しくはこちら無料!!英語が苦手でも海外就職を実現する人が続出!海外就職・キャリアプラン構築セミナー 詳しくはこちら
Jiyoung Baek

セブ留学がきっかけで東南アジアの虜に!! フィリピン・セブでの海外インターンを経て、ベトナム・ハノイで海外就職。約2年に渡って大好きな東南アジアで働きながら、旅をする生活をしていました。 現在は自身の海外経験を基に、旅するインタビュアーとして海外で活躍する方々を取材し、「海外で働くとは」について発信することで、海外で働きたいけど一歩踏み出せない方に挑戦のきっかけを作るべく奮闘中。 どんなときもアジアの眩しい陽射しのような笑顔を忘れず、頑張っています! 日々大事にしていること「やらない後悔よりやって後悔、何でもやってみる!」