マレーシアの経済状況

マレーシアの経済状況

1.マレーシアの経済概要

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「ビジョン2020」という長期計画を基に、2020年の先進国入りを目指すマレーシア経済はリーマション・ショックで一時的に落ち込んだものの、経済成長率は堅調に推移しているといます。直近は一時期の急成長は見られないものの、GDP成長率は4%台後半を維持しており安定しています。ただし、2015年9月現在、マレーシアの経済は、政情不安、原油安(マレーシアは産油国)、中国経済の減退感、新消費税の導入、リンギット安などにより好調とは言えない状況です。製造業を中心とした産業で発展してきたマレーシアにとって、上記のような理由による景気減退は大きな構造転換を図る必要を強いる可能性があると言えます。

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一方で、1人当たりGDPを見ると1万ドルを越えており、シンガポールを除くASEAN諸国の中で一番高い水準となっています(タイの約2倍!)。そのため、人口は3,000万人程度と大きくはありませんが、製造業の基地としてだけではなく首都クアラルンプールを中心に消費市場としても注目を集めています。
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2.マレーシアと日本及びASEAN諸国との比較

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日本の経済規模とマレーシアを比べた場合、GDP比で7%とマレーシア経済の経済規模はさほど大きくとは言えません。しかし、人口は3,000万人程度であることを考えると、1人当たりGDP比では28%と日本の4分の1〜3分の1となっています。首都クアラルンプールに行くとわかりますが、街は賑わい、街並は日本の都会と変わりはありません。人々の消費意欲は強く、日本の飲食店や小売業の企業も数多く進出しています。

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アジア諸国内での経済成長を見た場合、2005年から2012年の間にGDPで約2倍の成長を見せています。他のASEAN諸国と比べるとその成長率はやや物足りないものの、堅調に推移していると言えます。

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一方で、日本のGDPの伸び率1.3倍と比べた場合、マレーシアの成長率(ASEAN諸国)は著しく高いことも見てとれます。ただ、マレーシアの釣鐘型に近い人口ピラミッドを見た場合、このままいくと比較的早い時期に成長が鈍化することも考えられます。

→マレーシア概要「4.マレーシアと日本との比較」を参照

3.マレーシアの産業

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マレーシアの産業を見るとやはり大きいのはタイ経済と同様、鉱工業であり、全体の35%を占めています。そのうちの製造業の割合は大きく24%となっており、自動車産業を中心とした工業への依存度が高い経済であると言えます。ただ、最近のサービス業の占める割合も大きくなっていることからも人々が豊かになり、市場としての魅力度が増していることが伺えます。

4.民族間対立とブミプトラ政策

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多民族国家であるマレーシアでは左の図のように、マレー系が全人口の65%、華人系が24%、インド系が8%を占めています。しかし、各民族ごとの平均月間世帯収入を見ると、華人系が6,366リンギットと一番高く、次にインド系で5,233リンギットと続き、最後に最も人口が多いマレー系の4,457リンギットとなっています。そのため、マレー系住民の不満が溜まり、時折民族対立へとつながってしまうことがあります。そこでマレーシアで採用されているのが「ブミプトラ政策」です。

ブミプトラ政策
…土着の民とされる「ブミプトラ」(マレー人およびその他の先住民;人口の約 65%)の経済的地位を向上させるための政治的・経済的な優遇策

ブミプトラ政策は民族差別政策の一種と批判されることがあるものの、全人口の65%を占めるマレー系民族が保護対象であるため、撤廃は難しいとされています。具体的な優遇内容は下記の通りです。

「ブミプトラ政策」の内容
…1.教育におけるマレー人優遇
…2.就職におけるマレー人優遇
…3.住居におけるマレー人優遇
…4.銀行融資におけるマレー人優遇
…5.会社経営上のマレー人優遇

5.マレーシアの輸入及び輸出産業

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マレーシアの貿易相手国の2002年と2012年の比較のグラフは上記になります。このグラフを見ると、日本との貿易の割合はほとんど変わっていません。ただ、アメリカとの貿易の割合が大幅に減少している一方で、大幅に貿易の割合を増やしている国があります。それは中国です。マレーシアに限らずASEAN諸国の中で中国のプレゼンスは大幅に上がってきています。

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直近の日本との輸出入の推移のグラフを見ても日本との貿易は安定していることが伺えます。

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日本との貿易の中身を見てみましょう。日本への輸出品の半分は液化天然ガスが占めています。また、次に熱電子管・太陽電池・部品等、ベニヤ板と続きます。さらに日本からの輸入品を見てみると、熱電子管・太陽電池・部品等、輸送機器(自動車等)、銅、鋼管、パイプ、電気機械・関連装置と続きます。

6.マレーシアへの直接投資及び日系企業の状況

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2013年のマレーシアに対する直接投資の国・地域別金額は上記の通りです。日本は投資額はトップであり、毎年安定的にマレーシアに投資を行っています。

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上記は2012年におけるマレーシアに進出している日系企業の属性を表したグラフです。この時点において製造業と非製造業の割合はほぼ同じになっており、年々非製造業の割合が伸びていっています。製造業については、電気・電子、石油・化学薬品、鉄鋼・非金属、自動車・関連部品のようなかつての日本の重厚長大産業が全体の7割弱を占めます。一方で非製造業は、代理店・サービスをはじめ、貿易・商社、建築・土木の他に様々なサービス業が進出しています。今後ますます、非製造業の割合は増えていくと考えられます。

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