マレーシア概要
1.マレーシアの概要
南にアジアの金融センターであるシンガポール、北に東南アジアの工場と言えるタイに挟まれたマレー半島の中心に位置するマレーシアは、マレー半島とボルネオ島の一部から成り立っています。面積は日本の9割弱であるものの、人口は約3,000万人と日本の4分の1ほどになっています。国教はイスラム教ですが、仏教徒やキリスト教徒、ヒンドゥー教徒も一定数おり、民族もマレー系、華人系、インド系、その他の民族と多種に及ぶ多民族国家です。公用語はマレー語ですが、中国語や英語も広く使われています。首都のクアラルンプールはバンコクに並ぶアジア有数の大都市圏を形成しています。
2.マレーシアの地理及び気候
マレーシアはシンガポールの北に位置し、赤道に近いため熱帯雨林気候に属しています。そのため、一年を通じて常夏の気候となっています。年間を通して気温は高いのですが、マレー半島とボルネオ島、マレー半島でも西海岸、東海岸では、特に雨期と乾期の時期が異なっています。首都であるクアラルンプールの気温と降水量のグラフは下記になります。雨期乾期があると言っても乾期にも雨は降りますし、雨期と言っても常に土砂降りと言うわけではなく、季節によってそこまでの違いはないのも特徴です。
3.マレーシアの言語、民族及び宗教
マレー系の民族が65%を占めるマレーシアの公用語はマレー語ですが、中華系も25%ほどを占めるため、中国語も広く使われています。宗教も国教のイスラム教の他に仏教、キリスト教、ヒンドゥー教の割合も一定数おり、民族、宗教が渾然一体と入り交じっていることが特徴です。様々な民族で成り立つ多民族国家マレーシアの最大の課題は、民族間の格差をいかに是正するかにあり、主要民族であるマレー人への民族的優遇策であるブミプトラ政策を取っているのが特徴的です。
ブミプトラ政策
…土着の民とされる「ブミプトラ」(マレー人およびその他の先住民;人口の約 65%)の経済的地位を向上させるための政治的・経済的な優遇策
(世界の人口ピラミッドより抜粋)
人口ピラミッドは釣鐘型で日本の形状とやや似ています。経済発展が続き少子化の流れに乗っていることが伺えます。そのため、フィリピンなどの綺麗な人口ピラミッドを持つ他のASEAN諸国と比べて早い段階で「人口オーナス」期に入ることが予想されます。今後15年〜20年ほどの長期スパンで見た時の経済発展の可能性は他のASEAN諸国と比べてやや見劣りするかもしれません。
人口オーナス
…一国の人口構成で、高齢人口が急増する一方、生産年齢人口が減少し、少子化で生産年齢人口の補充はできず、財政、経済成長の重荷となった状態。現状の日本がその時期に入っているとされている。
4.マレーシアと日本との比較
マレーシアは日本の約90%の国土に約4分の1の人口を有します。一方でGDPは日本の7%、1人当たりGDPは28%となっています。特に1人当たりGDPはシンガポールを除くASEAN諸国では一番大きくなっています。首都のクアラルンプールは高層ビルが立ち並ぶ大都会で、市民の購買力も上がってきており、市場としても注目されてきています。