海外就職成功事例

インドでいきいきと働く北出望さんに"自信"と"自分らしさ"を取り戻す秘訣について聞いてみた

「今を全力で生きる!」

これは、今回取材した、北出望(きたで のぞみ)さんのモットーです。
そして、北出さんがインドで働く決断をしたときに、背中を押した言葉でもありました。

いつかは海外で活躍することを夢見て、グローバル展開しているメーカーに入社した北出さん。
当初から海外と関わる仕事を希望したものの、まずは国内市場を知るために、国内営業を担当することに。
その過程で、お客様と信頼関係を築き上げることにやりがいを感じていた反面、どんどん自信や自分らしさを失っていく自分に気づきました。
一方で、学生時代に訪れてから、すっかり虜になったインドに対する思いは募るばかり・・・。

「不確実な未来のことで悩むぐらいなら、自分の力でキャリアを切り拓こう!」
ご自身のモットーを胸に、北出さんは大好きなインドで挑戦する道を選びました。

インド国内での転職を経て、今も引き続き、インドでいきいきとご活躍されている北出さん。
自分の気持ちにまっすぐな人が多いインドで、自信や自分らしさを少しずつ取り戻すという嬉しい変化もあったそうです。

そんな北出さんの姿から、自分の気持ちに素直になって行動しながら、「今」という時間を積み重ねていく大切さを感じられるはず。
ぜひお読みください!

北出望さん プロフィール
東京外国語大学を卒業後、日本のメーカーで約2年間国内営業に携わる。25歳でインド転職を決意し、日系商社のインド支社で、日本・インド両国のカスタマーサポート・マーケティング支援に携わる。同社で約1年3ヶ月間勤務した後、インド国内で旅行代理店に転職し、現在に至る。
*当日伺ったお話をもとに執筆。

 

“自分らしく”生きられない葛藤と募るインドへの思い

友人がムンバイ(インドの都市)最大のお祭りでお誕生日をお祝いしてくれたときの様子

 

── 現在インドでご活躍されている北出さんですが、もともと海外にご関心はあったのでしょうか?

 

洋楽が好きな母の影響を受け、私自身も幼い頃から洋楽を好んで聴いていました。
英語に触れる機会も多く、耳が英語に慣れていたこともあって、中学・高校時代も英語は得意で、大好きな科目でした。
英語好きが興じて外国語大学に進学し、私から英語を除いたら何も残らないと思っていたぐらいです。

ただ、大学に入学してからは、英語に対する自信を失くしたこともありました。
周囲に帰国子女も多く、自分よりもはるかに英語ができる人がたくさんいたからです。

そこで、英語環境に身を置くため、大学3年生の1年間、交換留学でカナダへ行きました。
将来的に大好きな英語を活かして仕事がしたいと思っており、胸を張って英語が武器だと言えるようにしたくて・・・!

 

── もともと英語が大好きで、海外で活躍したいと強く思っておられたんですね! 最初の就職先としてメーカーを選んだのはなぜですか?

 

当時は「日本と海外の架け橋になる」を軸に、就職活動を進めていました。
なかでもメーカーを選んだのは、日本製品の魅力を海外にもっと伝えていきたいと思っていたからです。
ありがたいことに、グローバル展開しているメーカーに内定をいただいたので、いつかは駐在員として海外で働けたらいいなと思っていました。

ただ、その後卒業旅行でインドのバラナシ(※)を訪れたのがきっかけで、インドの虜になってしまったんです(笑)。
そうして、「海外のどこか」はすぐに「インド」に変わりました。

※バラナシは、有名なガンジス川のある街です。ヒンドゥー教の聖地とされ、多くの観光客が訪れます。

 

── インドのどのようなところに魅力を感じたのでしょうか?

 

陳腐な言葉にはなりますが、とてつもないエネルギーを感じました。
整然とした日本とは違って、無秩序な世界ではありましたが、そこから感じる活気や勢いはすさまじいものでした。

また、インドにいると、自分らしくいられる気がして、とても居心地が良かったんです。
日本にいるときはルールや規則に縛られ、いつも周りに気を遣っていて、窮屈に感じているところもありました。
その点、インドでは、誰もが自分の気持ちにまっすぐに生きていたんです。
「誰かの目を気にして生きる必要なんてないんだ」と思わせてもらいました。

あまりにもインドが好きで、会社に入ってからも休暇を使って何度か訪れていました。

 

── すっかりインドに魅了されてしまったんですね! メーカーでのお仕事について教えていただけますか?

 

当時は、入社時に希望していた海外企画部への配属が叶わず、国内営業を担当していました。
ただ、3年間経験を積めば、海外でチャレンジできる道が拓かれると聞いていました。
インドに行きたいと強く思っていたので、「インドに行けないなら、辞めます!」と会社に伝え続けていました(笑)。

とはいえ、置かれた環境や時間は決して無駄にしたくなかったので、国内営業の仕事にも全力で臨みました。
「営業担当者としてお客様に選ばれる」という目標を持ち、お客様と信頼関係を構築していくことにやりがいも感じていました。
上司や同僚に恵まれ、仕事を通して学んだことや貴重な経験もたくさんありました。

 

── 頑張れば、海外赴任にチャレンジできる可能性があったにもかかわらず、なぜ退職を決断したのでしょうか?

 

ちょうど丸2年が経った頃、大きな案件を担当しており、土日も電話が鳴り止まない日が続きました。
しばらくそのような状況が続いたせいか、あるとき、気絶してしまったんです。
「このまま続けたら死ぬ・・・」と思ったのを機に、チャレンジとともに失敗もたくさんできる20代をこのまま過ごしていいのかと自問自答し始めました。

仕事にはやりがいを感じる部分もありましたが、仕事の中でどんどん自信を失っていく自分もいたんです。
まだ知識も経験も浅いなか、経験豊富なお客様に圧倒されることや、男性が多い環境の中で働くことに難しさを感じ、苦悩することもよくありました。

 

── とても大変でしたね・・・。

 

海外赴任は、3年目以降に挑戦できる可能性があるだけで、保証されたものではありませんでした。
不確実な未来のことで悩むぐらいなら、自分の力でキャリアを切り拓こうと思ったんです。

それに、私はその当時から「今を全力で生きる」をモットーにしていたので、後悔したり、先読みしたりし過ぎずに、そのときの自分の気持ちに素直になって決断しようと思えたんです。
そこで、「大好きなインドで、自分の生き方に納得感を持って生きていきたい」という思いに従い、インドへ飛び込むことにしました。

 

インドで働く楽しさを感じる一方、「自分の介在価値」が感じられずに悩む

インドで最初に勤めた会社の退社時、チームメンバーと一緒に

 

── インドで、最初の就職先を見つけた経緯について教えていただけますか?

 

インド現地の人材紹介会社に登録し、あまり強いこだわりを持たず、幅広く求人を見ていました。
当時の私にとって、まずはインドへ行くことが最優先だったからです。

そんなとき、ちょうどインドで最初に就職した会社の求人を見つけたんです。
当時その会社は、インドでの日本製品の拡販をサポートするビジネスを立ち上げようとしており、インド現地でその製品の販売窓口を任せられる人材を探していたんです。
もともと私は「海外と日本の架け橋になるような仕事がしたい」と思っていたこともあり、面白そうだと感じました。

選考を担当してくれた、以前の上司の人柄に安心感を感じたのもあります。

 

── お仕事についてもう少し具体的に教えていただけますか?

 

インドに拠点がない日本のメーカーに代わり、インド現地でのマーケティングを支援していました。
日本のお客様の窓口となって、要望を上手に伝えながら、実際にマーケティングを担当してくれていたインド企業をどんどん動かしていく役割です。
デジタルマーケティングは未経験でしたが、自分で勉強しながら、インド企業と一緒になって施策を練ったりもしていました。

社内はもちろん、普段やり取りをするインド企業のお客様もインド人なので、英語を使う機会はたくさんありました。
おかげで、英語のスキルはかなり身についたと思います。

 

── 当時のお仕事のやりがいについて教えていただけますか?

 

マネジメントではなく、インド人スタッフと同じ立場で仕事ができたことです。
インド人スタッフが上司には言えないような悩みを共有してくれると、とても嬉しかったですね。

もともと、現地採用としてインドへ行くことを選んだのも、マネジメントよりもインド人の考え方や働き方をまずは理解したいと思ったからでした。
というのも、日本で国内営業を担当する中で、まずは現場を知ることが何よりも大切だと感じていました。
インドで働くにあたっても、いきなりマネジメントに携わるより、まずはインドのビジネスやマインドセットを学ぶことから始めた方が良いと思っていたんです。

もちろん、お客様が日本人である以上、どうしても日本の考え方を理解してもらう必要はあります。
お客様の要望について私から説明した上で、彼らが理解して業務に取り組むのを目にすると、やりがいを感じました。

 

── 逆に、難しさはありましたか?

 

仕事の中で、徐々に自分の存在価値が感じられなくなってきたんです。
というのも、私の仕事は日本のお客様とマーケティングを担当するインド企業を橋渡しするようなような役割です。
日本とインド、両方のお客様から言われたことを忠実に伝えることが仕事であり、そこで自分の考えや意見が反映されないことにモヤモヤするようになりました。

また、立ち上げ初期のビジネスならではの面白みもありましたが、そのビジネスが実際に形になるまでには10年近くかかりそうでした。
一方、私はインドに10年もいるつもりはなく、インドで過ごせる時間は有限だと思っていました。
限られた時間の中で、自分の力で成功体験を作りたいという、私の思いとは合わないと感じ始めました。

 

── そこからどのような経緯で現職の会社に転職したのでしょうか?

 

ちょうど以前の職場で葛藤を抱え始めた頃、仲の良かった友人が帰国することになったんです。
その友人の後任として、今勤めている旅行代理店で働かないかと誘ってもらったのがきっかけです。
友人から話を伺って、バックパッカーにとってはゆるくて居心地の良いインドで、緊張感が求められる視察や研修旅行を手配する難しさにチャレンジしたいと思いました。

最初になんとなく会社を訪れたところ、たまたま今の上司と面談をすることになり、私の「夢」について聞かれました。
そこで私は、「長期的な意味でいう、明確な夢は持っていない」と答えたんです。
なぜかというと、私は目の前にある「今」を丁寧に生き続けた先に「未来」があると思っているので、あえて明確な夢を持たないようにしていたんですよね。
素直にその思いを口にしたところ、それで良いと言ってくれて・・・!
ありのままを受け入れてくれた上司の人柄に惹かれたこともあって、入社を決意しました。

 

大好きなインドで「今」を生きることで、取り戻した“自分らしさ”

飲み会でチームリーダーと仲良く写った1枚

 

── 現在のお仕事について具体的に教えていただけますか?

 

日本からインドに来られるお客様のインド国内旅行の手配に携わっています。
実際に細かい手配を担当するのはインド人スタッフなので、私はお客様の意向に沿った手配ができるようサポートしています。

どうしても日本人とインド人の間には感覚の違いがあり、インド人スタッフが日本人旅行客の感覚を理解しきれないことがあります。
また、自国の旅行を手配するということもあって、インド人スタッフも誇りを持って仕事にあたっています。
その気持ちはしっかりと汲み取りながらも、日本の考え方や感覚を理解してもらえるよう、論理的に説明しながら折り合いをつけています。

前職で英語というツールには磨きをかけたので、あとはそれをどう活かすかだと考えているんです。
これまで伸ばした英語を活かしながら、今は論理的に考えた上で伝える、“ロジカルシンキング”の力が身についています。
とても良い環境に身を置けていますね!

 

── 充実した毎日を過ごされている様子が伝わってきますね!

 

大好きなインドの旅行を手配していることが、とにかく幸せです!

前職と比べて、自分の裁量が大きいことにもやりがいを感じています。
旅程表を作りながら、取り入れた方がいいと思ったことを提案すると、その意見を基に案件が進んでいきます。
以前と比べて、仕事に自分の考えが反映される機会が増えたことで、自分が介在する価値が大きくなったように思っています。

もちろん、まだ転職して半年なので、旅行業界に関する知識がまだ足りていない部分もあります。
分からないところは先輩方に教わりながら進めていますが、自分でもスキルや知識のさらなる向上に努めていこうと思っています。

 

── インドに身を置いたことで、これまで何か大きな変化はありましたか?

 

考え方や捉え方の変化によって、より“自分らしく”生きられるようになりました。
「自分が好きな自分でいる」という、インドに飛び込んだときに掲げた目的を果たせていて、とても満足しています。

日本にいた頃は、誰かに迷惑をかけることが怖かったり、社会のルールに縛られたりしていて、常に誰かの目を気にしていました。
インドに来てからは、「もし誰かに迷惑を掛けたら、その分自分が助けてあげればいい」と考えられるようになったんです。
おかげで、ぐっと生きやすくなりました!

また、日本では縮こまってばかりいましたが、自分の奥深くにエネルギーが眠っていたことにも気づきました。
インドではオートリキシャに乗るときの交渉をはじめ、自己主張ができないと淘汰されてしまう場面がたくさんあります。
だからこそ、きちんと論理的に考えた上で、自分の言いたいことをきちんと伝えられるようになったんです。

 

── 「自分が好きな自分でいる」、とても素敵ですね! これまでインドで頑張ってこれた原動力について教えていただけますか?

 

「インドが大好き!」という気持ちが、かなり大きな原動力だと思います。
インドでは、日本では信じられないようなことが起きたりもしますが、すべて冒険のようで楽しいと思えてしまうんです(笑)。

また、インドに来て、少しずつ自分に自信がついていると実感しています。
大好きなインドで、自分のことも好きでいられて、できるようになったことも増えて・・・とてもいいサイクルの中にいると思うんです。
だからこそ、インドで頑張り続けられるんだと思います。

 

気になる今後と海外で働きたい方へのメッセージ

 

── 今後についてはどのようにお考えですか?

英語というツールの確立に加えて、論理的に話すコミュニケーションスキルが身についたので、インドでそれをさらに伸ばしていけたらと思っています。
幸いにも、今は仕事で与えられた裁量も大きく、自分が与える影響の大きさや関わる意義を感じられる機会がたくさんあります。
そのチャンスを活かしながら、折衝の中で自分ならではの提案ができるような人になることで、どこに身を置いても自分の価値が発揮できる人材になりたいです。

あとは、結婚して家庭を持って、パートナーたちを幸せにすることが直近の大きな目標です。
これまでたくさんの方に生かされてきた人生だと思っているので、「自分のため」ばかりでは生きていられないと思うんです。
自分が得てきた経験、自分にできることを通して、身近な家族を幸せにできる人になりたいですね。
そんな日がいつ来てもいいように、今を全力で生きることを大切にしたいと思っています。

 

── 最後に、海外で働きたい方へのメッセージをお願いします!

 

時間は有限なので、過去の私のように悩んでいるなら、行動して損はないと私は思っています。
一方で、チャンスやきっかけはいつか必ずやってくるので、焦る必要はないとも思っています。
タイミングやご縁を大切に、自分の気持ちに素直になって行動してほしいですね!

また、一度海外に出ると決断したのであれば、目的はきちんと持った方が良いと思います。
でないと、海外の勢いやスピードに飲み込まれてしまうからです。
きっかけは「海外のどこかで生活したい」でも構いませんが、直近の目標や目的を追い求めながら、自分を客観視しつつ行動を続けていくと、より実りある海外での生活やキャリアが実現できると思いますよ!

 

まとめ

いかがでしたか?

「今を全力で生きる!」
日本でキャリアや生き方に悩み、悩むぐらいなら自分の力でキャリアを切り拓こうと一歩を踏み出した北出さん。
大好きなインドで、どんどん成長を遂げるうちに、失った自信や“自分らしさ”を取り戻す姿が印象的でした。

また、実りある海外生活を送るために、目的意識を持つことの大切さにも共感しました。
置かれた環境や時間を無駄にしないよう、常に目的を持って決断と行動を繰り返してきた、北出さんらしいメッセージだと思いました。

北出さん、今回は貴重なお話をお聞かせいただきまして、本当にありがとうございました!
今後のご活躍を心より応援しております。

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Jiyoung Baek

セブ留学がきっかけで東南アジアの虜に!! フィリピン・セブでの海外インターンを経て、ベトナム・ハノイで海外就職。約2年に渡って大好きな東南アジアで働きながら、旅をする生活をしていました。 現在は自身の海外経験を基に、旅するインタビュアーとして海外で活躍する方々を取材し、「海外で働くとは」について発信することで、海外で働きたいけど一歩踏み出せない方に挑戦のきっかけを作るべく奮闘中。 どんなときもアジアの眩しい陽射しのような笑顔を忘れず、頑張っています! 日々大事にしていること「やらない後悔よりやって後悔、何でもやってみる!」