マレーシア就職・転職における労働条件及びビザの発給条件
1.マレーシアにおける日本人現地採用の一般的な労働条件
【日本人現地採用の一般的な月給(1リンギット=30円で換算)】
カスタマーサービス:5,000〜8,000リンギット(15万円〜24万円)
営業、一般スタッフ:5,000〜8,000リンギット(15万円〜24万円)
管理職、高度技術者:8,000〜20,000リンギット(24万円〜60万円)(「アジア転職読本(森山たつを著)」より抜粋(岡本(私)がリバイズ版の現地リサーチを担当)
マレーシアにおける外国人の最低賃金は5,000リンギットと定められており、就職の際に特に際立ったスキル、経験、語学力がない場合はそこから賃金がスタートするのが一般的です。マレーシアでの現地採用の給与はASEAN諸国の中間的な水準かやや低めな水準となっています。しかし、一般的なマレーシア人の生活水準が他のアジア諸国よりも高く、(日本水準まで求めずに)彼らの水準に合わせて生活出来ればある程度の貯金が出来ます。マレーシアでの生活はコストパフォーマンスがとての良いと感じました(リンギット安なこともありますが(2015年9月現在)。)。また営業の職種においてはインセンティブが与えられることも多く、うまく成果を残すことが出来た方はかなりの報酬をいただいている人もいました。
2.マレーシアにおける一般的な労働環境及びその他待遇
(KL近郊にあるマレーシアの行政新首都として開発中のプトラジャヤ。連れて行ってもらいましたが、荘厳な庁舎が立ち並んでいて圧倒されました。)
【日本人現地採用その他の処遇】
医療保険:会社が医療費を負担する場合がほとんど。そのため医療保険に入る必要がないケースも多い。
年金:EPF(従業員積立金)に加入するケースもある。その場合、会社と個人折半で積立を行う。
ボーナス:年1〜2回1カ月〜3ヶ月分のボーナスが出る場合が多い。これに加えて業績連動のボーナスを支給する企業もある。
住宅:住宅支給や住宅手当支給のケースもある。
通勤:社用車が提供される場合もある(ただし運転手はつかない)。(「アジア転職読本(森山たつを著)」より抜粋(岡本(私)がリバイズ版の現地リサーチを担当)
マレーシアの日本人労働者の一般的な労働環境ですが、日本の労働環境とそれほど大きく異なることはないでしょう。ただ、私が直接聞いた限りにおいては、マレーシアの一般的な日本人の労働環境は他のASEAN諸国より恵まれており、長時間の残業を強いられるということは少ないと伺っています。そのため、とても働き易い環境が整っているケースが多い印象を受けました。一方でマレーシア人は、まず間違いなく定時で帰社するとのことです。ただ、日本企業によっては、日本並みに成果を求めるケースもあるとのことです。
3.マレーシア現地スタッフの特徴及び一般的な給与水準
【現地人スタッフの一般的な月給】
工場労働者:41,280円
中堅技術者:113,280円
中間管理職(課長クラス):235,920円JETRO「アジア・オセアニア主要都市・地域投資関連コスト比較(2013年)」より
マレーシアの工場労働者や技術者の給与は4万円程度と日本人の平均給料と比べてかなり低くなっています。しかし、工場の中間技術者だと10万円を超え、中間管理職やクアラルンプール市内のオフィスワーカーのマネジメント層になると20万円程度の給料をもらうこともめずらしくなく、日本との賃金格差は減りつつあります。
また、アジア各国の一般工の賃金の比較のグラフを掲載しました。このグラフを見るとクアラルンプールの平均賃金は、他のASEAN諸国の賃金と比べて高水準にあると言えます。特に中間管理職の賃金が20万円を超えているのはシンガポールを除けばクアラルンプールだけです。マレーシアは主に製造業でここまでの発展をしてきましたが、賃金は他国と比べて上がりつつあり、今後は高付加価値製品の製造や開発に力を入れていく必要があるようです。
4.マレーシアのビザの発給条件について
就労ビザとは
ビザとは、国が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書のことをいいます。特に就労ビザとはその国で一定期間就労して、経済的利益を得るために必要なビザのことをいいます。日本人が海外で働く場合、必ず就労ビザが必要になりますが、発給要件はその国ごとに異なります。特に近年、日本人がアジア諸国で働くための各国のビザ発給条件が厳しくなっている傾向があります。就労ビザの発給要件はその国が日本人や他国の労働者をどの程度受け入れたいかということに依存しますが、経済が発展したシンガポールの様な国になると厳しくなるのが一般的です。就労ビザの発給要件は国によって頻繁に変わることが多いため、最新情報は常にチェックする必要があります。
マレーシアの就労ビザの発給状況
ビザについては、これまでは基本的に大学卒業資格があり、数年の実務経験がある場合には問題なく出るケースが多いようでした。しかし、2017年9月1日からビザの取得要件が厳しくなり、かなり厳格に基準も守られるようになってきています(雇用パスの発給資格は下記の表)。
ただコールセンターなど業種によっては取得要件が緩和されているケースもあります。また、ビザを申請する企業の過去の実績や規模、業種などによって異なるケースもあるようです。
制度自体も変更されることが多いので直近の状況は転職エージェントに直接問い合わせをされる方が良いでしょう。