コラム

仕事を続けたまま就職活動をすべきか?退職してから就職活動をすべきか?

「転職を考えているのだが、今の仕事を続けたまま就職活動をすべきか?退職してから就職活動をすべきか?」

転職を考えた場合、誰しも考えるこの悩みについて考えてみました。この問題はその人の置かれた状況に大きく左右されるので何とも言えない部分もありますが、ご参考までに。

1本当に今の環境を捨てて違う道を進むべきかを改めて考える。


まずは本当に今の環境を捨ててまで違う道を進むべきかよく検討する事が大切だと思います。理由は大別すると2つ「前向きな理由」「後ろ向きな理由」に分けられます。あなたが転職をしたいのは「今の会社が嫌だからですか?」それとも「あなたにどうしてもやりたいことがあるからですか?」

●前向きな理由
・企業独立したい
・ヘッドハンティングされ臨む業界・企業への転職が決まった。
・海外就職にチャレンジしたい。

●後ろ向きな理由
・人間関係:「同僚とどうしても反りが合わない」
・仕事内容:「単純作業ばかりでスキルが身に付かない」
・待遇:「仕事の割に給料が低い」
・会社の状況:「会社の方針に納得出来ない」「会社の将来性が不安」

まずはどこに理由があるのかはっきりさせることが大切だと思います。ここで「後ろ向きな理由で転職すると失敗する」とよく言われますが、確かに僕の回りを見てもその傾向は強いように感じます。でも、今の会社でずっと過ごす事を考えるとぞっとするなら、次の道を考えるべき時だと思います。

ところであなたの将来のビジョンって何でしょうか?

ここではこの問いについて考える事はしませんが、これを考える事は決定的に重要だと思います。5年10年20年というスパンで考えた時にどういうキャリアを歩んでいたいか?どのようなライフスタイルが理想か?家族との関係や時間は?などについて考えることは必要不可欠だと思います。将来のことですのである程度漠然としていても構いません。ただきちんと考えて文章として残す事は必要だと思います。こちらの記事も参考に考えてみて下さい(→「やりたいことを見つけて自分らしいオリジナルなキャリアを歩み続けるためには」)。

今の会社で働く事で失うものやリスクを考える

今一度、今の会社を辞める事で失うものを考えてみて下さい。主なものは下記になると思いますが人によっては他にもあるかもしれません。これらを頭の中に思い浮かべて、将来に得られるであろうものの方が大きいのであればあなたは今の環境を変えた方が良いかもしれません。

・安定した給料
・安定した地位
・ 社内で培ってきたノウハウ・人脈
・ 今の会社での仕事の進め方

リスクばかり見ていると結論は必ず現状維持になる。

今の会社で失うものやリスクばかりを考え出すと結論は必ず現状維持になってしまいます。未来の悪い事は誰もわからないですし、その影響は大きく考えてしまいがちです。仕事は辞めると失うものは確実に失われるので期待値は1(100%)です。一方将来得られるであろう良い面の期待値は将来への不安から通常小さく見積もってしまいます。両者を比較した場合、辞める事で失うものの方が大きくなってしまい、現状を選んでしまうのです。きちんと将来について考えた上で、「えいやっ!」と決断できないとずるずると現状維持で進んでしまうリスクは本当に大きいと思っています。

ブラック企業で心身の健康を損ねる可能性があるなら速攻退職すべき

数年前、僕の中学の友人が職場でのいじめを理由に自殺をしました。「どうしてそんな辞めなかったのか?」「自分に何かできなかったのか?」と大きなショックを受けました。世の中にはどうやら「ブラック企業」が結構あるようです。そんな会社で働いている人は速攻で辞めて下さい。心身の健康を損ねるなんて本当にもったいないですしナンセンスです。僕の回りを見ても仕事を辞めても皆さん何とかしています。

2日本で転職する場合(海外就職をしない場合)


まずは日本で職を探す一般的な転職ケースを考えてみます。数社のエージェントさんからお話をお聞きしたり、僕の回りの転職者のケースを見た場合、「A.仕事を続けたまま転職活動をした人」の方が「B.退職してから転職活動をした人」よりやや多いくらいでした。また彼らはそれぞれの選択を後悔はしておらず、それなりに満足いく転職活動を行い、実際に転職を果たしているようでした。それでは「A.仕事を続けたまま転職活動をした場合」と「B.退職してから転職活動をした場合」のメリット・デメリットについて具体的に見ていきましょう。

「A.仕事を続けたまま転職活動をした場合」のメリット・デメリット

「A.仕事を続けたまま転職活動をした場合」のメリット・デメリットは以下の通りです。

<メリット>
・稼ぎながら転職活動が出来るので経済的に心配しないで活動出来る。
・キャリアが途絶えないで就職活動ができる(失業期間が長いと企業からの印象が悪い)。
・家族や親戚に心配をかけなくても済む。
・転職日が決まるため、辞める会社でダラダラ引き継ぎをしないでも良い。

<デメリット>
・転職活動に多くの時間を割く事ができない。
・現在の仕事に集中出来ず、回りに迷惑をかけてしまう。
・経済的な裏付けがあるのでダラダラと転職活動を進めてしまいがち。

「B.退職してから転職活動をした場合」のメリット・デメリット

「B.仕事を続けたまま転職活動をした場合」のメリット・デメリットは以下の通りです。

<メリット>
・自分の将来についてじっくりと考える事ができる。
・転職活動自体に時間をかけることができる。
・足りないスキルを向上させることができる。

<デメリット>
・経済的に苦しくなる可能性がある。
・ブランクが長くなるとマイナス評価につながる可能性がある。
・なかなか決まらないと精神的に厳しい状況に追い込まれる可能性がある。

日本で転職する場合のまとめ

「A.仕事を続けたまま転職活動をするか?」と「B.退職してから転職活動をするか?」を決める際の最大のポイントは「どれだけ無収入が続いても生活を継続させる事が出来るか?(=生存残存期間(※))」ということでしょう。これがかなり長ければ、転職活動中の経済的、精神的なゆとりも違ってきますし、家族への影響も最小限にすることが可能になります。しかし、この生存残存期間が3か月を切ってくると精神的に厳しい状況に追い込まれる可能性が出てきます。仮に「B.退職してから転職活動をする場合」は辞める際には最低でも6ヶ月はあるようにしておいて下さい。また生存残存期間は貯金の金額の他にも、家族の有無やライフスタイルによっても変わってきます。例えば独身で実家で生活出来る場合、生活費を切り詰める事で生存残存期間を長くする事ができます。

※生存残存期間の考え方
現在の貯金を1ヶ月当たりの生活費で割った金額。例えば貯金が300万円あり、毎月の生活費が30万円だった場合、生存残存期間は10ヶ月(=300万円÷30万円)になる。

また、せっかく転職するのであれば、自分の将来やビジョンについてじっくり考える事をオススメします。ここが曖昧なまま転職をしても次の職場に馴染む事が出来なかったり、転職先の仕事や待遇に納得ができなかったりして転職を繰り返し、キャリアの迷子になってしまう可能性があります。ご存知の通り日本においては転職回数が多過ぎると転職の際にマイナス評価を受けてしまい、次の転職の際に不利に働いてしまう可能性があります。この将来やビジョンについては下記の記事を参考にして下さい(→「やりたいことを見つけて自分らしいオリジナルなキャリアを歩み続けるためには」)。

3海外での就職の場合


海外における就職活動の場合は日本での転職活動と違い、「A.仕事を続けたまま転職活動をした人」の方が「B.退職してから転職活動をした人」より少ないようです。理由は下記の2つがあげられます。

・語学等のスキルが足りないため、転職前にスキルアップを図る必要がある。
・海外での転職活動をするのに時間がかかるため仕事を辞めざるを得ないケースがある。

海外就職も前職を辞めずに行う事も可能

実は海外での転職を考えた場合においても前職を辞めてから転職活動を行う事は必須ではありません。転職活動は下記のように進めていきます。

1 これまでのキャリアの振返りと今後のキャリア戦略を考える

2 国・都市を決める

3 転職エージェントに登録し求人紹介を受ける

4 必要な能力を高める(これについては随時行う)

5 現地で就職活動を行う

(詳細は「海外就職・転職のステップ」へ

既に語学等の能力がある程度高い人(TOEIC600点以上など)は「4必要な能力を高める」は不要かもしれません。そもそも必要な能力は常に継続的に高めていくものですよね。また人によっては、英語を集中的に勉強するためにフィリピン留学をするのも良い選択だと思います(僕が運営する「CROSS×ROAD(クロスロード)」オススメです(笑))。転職エージェントは日本からSkypeでコミュニケーションを取る事ができますし、場合によっては「5現地での就職活動」もSkype面接で内定を獲得することも可能です。また、Skypeで随時面接を行い、最終面接のみ現地に行き行うというパターンもあります。その場合、土日祝日を利用して現地に赴く必要があります。以上の理由から必ずしも今の仕事を退職しなくても日本の場合同様、海外転職を終了させる事は可能な場合があります。

海外就職は現地を見て決めるのが原則

僕は、就職先の国や地域、会社について既に訪問したことがあって相当な情報を持っている場合を除いて、現地に一度は赴いて情報収集する事は必須だと思います。海外で働き慣れている人なら必要ないかもしれませんが、特に海外経験が浅い人にとっては、住む環境、働く環境、食事、言語、宗教など全てが日本と違います。少なくとも人生の数年はそこで費やすのですからそこは慎重にいきましょう。特に下記の事項については必ずチェックしてください。

① オフィス周辺の環境
② 住宅地の環境、交通・教育環境(子供がいる場合)状況
③ コンビニやスーパーの状況
④ 日本食や手軽に入れそうなレストランの有無
⑤全体的な物価
⑥受けられる医療について

下記の記事も参考にしていただければと思います(→「海外就職・転職先の国・都市の選択」)。

海外就職についての個人的な意見

海外就職についての個人的な意見としては下記の要件の全てではなくてもかなりの項目を満たす場合は今の仕事を辞めてから海外で就職活動をするのはいいのではないかと思います。特に生存残存期間が6ヶ月以上あり、ある程度スキルがあって職歴が3年以上で30歳以下の方は決まる可能性が高いのでそれでも良いと思います。

・短期決戦を希望
・生存残存期間が6ヶ月以上
・語学力を短期間に伸ばす必要あり(フィリピン留学が効果的)
・複数の国を見て回りたい。
・ある程度スキルがあって職歴が3年以上で30歳以下→決まる可能性が高い

いずれにせよ、転職するということは、その人にとって環境も生活にも大変化をもたらす一大事です。海外就職であればなおさらそうでしょう。ただそうであるからこそ、今のあなたを変える事が大きなチャンスでもあります。慎重に、でも大胆に自身の人生を選択して下さい。

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岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒