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ベトナムの医療・公的保険事情について|元ベトナム在住者の目線から解説します。

こんにちは。
元ベトナム在住者こと、向日葵猫です。

今回はベトナムの公的保険事情について紹介します。

海外で暮らしたり働いたりすると、気になるのは保険事情。特に医療保険事情は海外生活者にとっては大きな心配の種です。

ベトナムの公的保険には、社会保険、健康保険、失業保険の3つがあり、加入条件なども年々変化しています。私がベトナムで仕事をしていたのは2013年~2016年のときですが、当時は健康保険のみしか加入できず、雇用されてから半年経過しないと保険に入れないというルールがありました。

他にもびっくりするようなルールがありますが、私の経験や最近の保険事情も踏まえて、ベトナムの保険事情を紹介していきます。

※一部の情報は、最新の情報とは異なる場合があります(2020年2月現在)

1. 月々の健康保険料は月給のわずか1.5%
病院にかかったら自己負担は20%

ベトナムの健康保険料は被雇用者の月給の4.5%で、雇用者側が3%、従業員が1.5%を負担することになります。

通院する場合は、医療費の80%を国家が負担し、20%が自己負担となるパターンが多いですが、診察や疾病内容などに応じて60%~100%の国家負担となります。

私も何度かベトナムの病院を利用しましたが、バイク事故による指の骨折や膝の怪我、食中毒などは治療費が比較的安く、婦人科系の診察の時は割高に感じましたので、診察内容によって自己負担額に大きな開きがあるようです。

2. 保険加入対象者は労働者のみ

健康保険は、労働者は必ず加入しなければなりません。

企業に従業員として勤務するのであれば加入義務があり、雇用者と被雇用者で毎月の保険料を負担しなければなりません。従業員以外では、6歳未満の学生も入れますが、この場合は政府が保険料を負担することになっています。

家族連れで長期駐在などをする場合は、子供の保険も現地のベトナム人スタッフなどに相談してきちんと対処しましょう。

3. 保険対象の病院は1か所だけ

ベトナムの健康保険は、指定された1か所の病院でしか保険が効かず、指定された病院以外で診療を受けると自己負担率が跳ね上がり、最悪100%実費負担になってしまうこともあります。これは、日本の国民健康保険などと大きく異なる特徴なので、十分注意が必要です。

私はバイクの運転中に傷害事件に遭ってしまった際に、現地のベトナム人に助けてもらったことがあるのですが、保険で指定されていない病院に連れていかれてしまい、自己負担額が60%になってしまったことがあります。そのため、必ず指定された病院で治療を受けることを強くお勧めします。

ベトナムの保健省に登録されている病院であれば自己負担率が跳ね上がるだけで済みますが、外資系の病院は保険対象にならないことが多いため、100%実費負担は避けられないと考えたほうがいいです。
また、保険対象になる病院として大きな総合病院を指定することになりますので、病院の規模が大きくてかなり広いです。そのため、迷子になって診察室や受付などにたどり着けないことがないようにきちんと場所を確認しましょう。大きい病院であるだけに待ち時間が長いことも覚悟しておいた方がいいです。

4. 歯科保障は含まれていない

これも驚く特徴なのですが、ベトナムの健康保険には歯科保障は含まれていません。

日本の海外旅行保険と変わらないじゃないかとツッコミを入れたくなりますが、歯科保障がないことを想定して対応しましょう。

私の元職場の先輩が親不知を抜いたことがあるのですが、保険対象外なため100%実費負担になってしまい、8000円ほどかかったそうでした。私も親不知の痛みに悩んだことが二度ほどありましたが、一度目は一時帰国中だったため日本で治療ができ、二度目は抜歯できるほど生えている状態ではなかったので、ベトナムで歯医者に行くことは免れました。

万が一親不知の抜歯が必要になった場合は、日本へ一時帰国するついでに歯医者に行くのがベストですが、何万円もかかるわけではないのでベトナムの歯医者で抜歯することも一つの手段として入れてもいいかと思います。

5. 外国人は健康保険にしか入れない

私が現地採用社員としてベトナムに滞在していた時は、外国人は健康保険にしか入れず、社会保険に加入することができませんでした。そのため、妊娠・出産、労災・職業病、退職年金、死亡などの手当てにおいて保険でサポートを得られないのが難点でした。

しかし、2018年12月からは外国人労働者にも社会保険への加入が義務付けられたため。外国人でも妊娠・出産や労災などに対する手当てを受けられるようになっています。

現段階では、雇用者側が3.5%を負担するだけとなっており、従業員が負担することはありませんが、2022年から雇用者側が17.5%、従業員側が8%を負担することになります。しかし、ベトナムは発展途上で法律も年々変わりますので、現地のベトナム人スタッフなどにきちんと保険に関する法律の確認をしたうえで対処することを強くお勧めします。

6. ベトナムに住み始めてから半年間は保険に加入できない

私がベトナムで暮らしていた時は、勤務先での雇用開始日から半年後にやっと健康保険に加入でき、それまでは無保険で過ごしていました。当時の総務のベトナム人スタッフからは半年間は保険に加入できないと聞いていましたが、労働許可証と一時滞在許可証を取得することに苦戦したことも原因になったかもしれません。

私自身は自他ともに認めるほど体がかなり丈夫なため無保険でも問題はありませんでしたが、保険がない期間があるというのは客観的に不安なポイントになるのは言うまでもありません。

3カ月以上の雇用契約がある場合は保険に加入できるようですが、現地のベトナム人社員などにきちんと確認して、必要に応じて無保険の期間がある場合の対策を練っておくことをおすすめします。

7. 健康保険とは別に任意保険に入るのがおすすめ

日本人の場合、ベトナムの健康保険や社会保険の加入に加えて、任意保険にも入っておくことがよくあります。任意保険は外国人向けの病院とも提携しているので、ベトナム語はおろか英語にも自信がない場合でも安心して診察を受けられるのが嬉しいポイントです。

この手段は比較的安全ですので、言葉の壁や現地の医療のクオリティなどに不安がある場合は検討してみることをお勧めします。

また、上述した無保険の期間がある場合でも任意保険に加入すればいつでも医療が受けられるので安心できます。任意保険の代表としてリバティ保険、損保ジャパン、Wellbeeなどがありますが、リバティ保険であればホーチミンやハノイなどの主要都市に事務所があって保険の相談をしやすい環境が整っているので一番メジャーで無難な選択肢だと思います。

私も使っていたことがありますが、保険証がカードになっていて保管しやすく、海外旅行保険にありがちなA4紙の保険証みたいにかさばるものではないのが便利でした。もちろん、日系病院や日本語デスクのある病院で診察を受けられましたし、必要に応じて日本人医師や看護師が通訳してくれましたので、かなり心強かったです。

まとめ

いかがでしたか?

医療保険のことは海外在住者にとって悩みの種ではありますが、きちんと対策をとっていれば安心して医療を受けられます。

ベトナムの健康保険や社会保険に加えて任意保険にも入って安全を買う手段もあれば、現地の保険にだけ加入して英語やベトナム語を駆使して保険料を抑える方法もあります。
私は基本的に後者の手段をとりましたが、保険で指定された病院で英語を話せる医者を見つけて連絡先などを交換しておき、通院する前にラインやショートメールなどで病気などの相談ができましたので、意外に現地の保険だけで対処できるものなのだなと考えています。

どちらも一長一短ですので、自分の状況や気持ちなどに応じてベストな手段をとりましょう。この記事が、みなさまのベトナム生活に役立つと大変励みになります。

以上、向日葵猫でした。

 

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HimawariNeko

元ベトナム在住者の向日葵猫です。 現在はドイツのベルリンでフリーランサーとしてお仕事しています。