アジア起業家

留学・ワーホリ・海外就職を経て海外起業!楽しい海外生活のカギは「人との繋がり」

こんにちは!
BEYOND THE BORDER ライターのペクです。

「海外生活や海外で働くことに憧れはあるけれど、実際はどうなの?」
「海外で働きたいけど、上手く行くか分からず不安。」

そんな方も多いのではないでしょうか?

「海外生活は楽しいですか?」
そう聞かれると、楽しさもあれば、大変なこともあるとお答えになる方がほとんど。
ただ、多くの方は大変さや難しさを上回るやりがいや楽しさをお持ちだからこそ、日々頑張り抜くことができています。

今回お話を伺った前田功貴(まえた こうき)さんもそのひとり。
海外へ飛び出したきっかけは“なんとなく”、フィジー留学、オーストラリアでのワーキングホリデー、そしてセブでの留学と就職を経て起業された前田さん。
行く先々で自ら積極的に行動し、コミュニケーションを取りに行くことで、「人との繋がり」を築きあげてこられました。
だからこそ、長年海外で充実した日々を過ごすことができているのだと思います。

「日本と違う部分がたくさん感じられるからこそ、海外に身を置くって楽しい」
そんな風に語って下さった前田さん、果たしてどんな風に道を切り拓いてきたのでしょうか?

海外就職をご検討の方は是非ご一読下さい!

*本文中のお写真については前田さんご本人から頂戴したものです。

 

前田功貴さんとは?

前田功貴さん プロフィール
高校卒業後は日本で2年間運送業に従事。休職中にフィジー留学を経てオーストラリアでワーキングホリデーへ、帰国後に職場復帰を果たすも、「海外にもう少し身を置きたい」という思いが強くなり、退職。フィリピン・セブへ留学した後、2014年から3年間はセブのフィリピン系IT企業で勤務。2017年に独立し、セブでパン屋さんを立ち上げ。2018年にはGeco Geco Co., Ltd セブ現地法人を立ち上げ、現在も現地責任者として奮闘中。

 

── フィジーにオーストラリア、そしてフィリピンと海外経験豊富ですね! 元々海外にご関心があったのでしょうか?

 

いえ・・・全くありませんでした(笑)。

僕は元々「今が楽しければそれでよし!」という生き方をしていて、勉強も大嫌い(苦笑)。
高校卒業後は柔道整復師の専門学校に少しの間通ったのですが、なんだか違うな・・・と思って辞めてしまったんです。
何かしら仕事はしないといけないと思っていたので、繋がりもあって運送業の仕事をしながら、プライベートでは毎日遊び呆けていました。

そんな僕が海外に飛び出したきっかけは“なんとなく”でしたが、考えるきっかけになったのは祖母が亡くなったことですね。

 

── こんなに海外経験があるのに、元々は全く関心がなかったことが意外でした! お祖母様が亡くなられたのを機に、何が変わったのでしょう?

 

僕は幼少期祖母と過ごした時間が長かったので、亡くなったときの喪失感が大きくて・・・。
しばらくいろんなことを考える日々を過ごしました。

そんなとき、ふと「このままずっと遊び呆けて過ごす日々は嫌だ!」という思いが湧いたんです。
自分を変えるために何をしようかと考えたときに、思いついたのが「英語」でした。
英語を話せるようになったらカッコいいという単純な動機ですね(苦笑)。

そこから「格安留学」でヒットした、フィジー留学に行くことにしました。
ちなみに、当時の英語力は英語で1から10まで数えるのがやっとというレベルでした。

 

“なんとなく”で飛び出した海外で英語を身に着け、現地生活の楽しさを知る

フィジー留学中によく訪れていたフィジー人の友人宅にて(写真右が前田さん)

 

── 英語力がほとんどない状態で、思い切ってフィジー留学へ。即断即決の行動力がすごいです! フィジーではどんな日々を過ごしていたのでしょうか?

 

学校でも英語の勉強にも励みましたが、全く話せない状態で、それだけでは足りないと思ったんです。
そこで、学校が終わったら、日本人の友人と遊ぶのではなく、フィジーの街を歩き廻って現地の方に話し掛け続ける日々を過ごしました。
フィジーにはすごくオープンマインドな方が多く、なんと・・・勝手に家の中に入れたりしてしまうんです(笑)。
日本ではありえないですよね!?

おかげで、仲の良いフィジー人の友人もでき、4ヶ月で英語も随分話せるようになりました。
フィジーのこともすっかり大好きになっていましたね!

 

── 座学より実践! 自らを律しながら、現地の方のコミュニティに飛び込んでいく果敢な姿が素敵だと思いました。

 

どこの国に留学しても言えることですが、留学を通して日本人だけでなく、いろんな国の方と出会えることが素晴らしいと思うんです。
現地の方々の中に飛び込むことで、現地の素敵な文化を知ることもできます。
フィジーには「ケレケレ」というシェアして助け合う文化があり、現地の方々も素晴らしい・・・お金がなくてもすごく幸せな日々でした。

実際、フィジーが大好き過ぎてフィジーへの移住を考えた時期もあったぐらいです(笑)。
ただ、いろいろとハードルが高かったので、諦めざるをえなくて・・・。

 

── 大好きなフィジーへの移住はハードルが高かったんですね。フィジー移住が難しくて、オーストラリアへ移ったのでしょうか?

 

フィジー留学に行くまで、ワーキングホリデーという制度すら知らなくて・・・(苦笑)。
フィジーで出会った方から教えて頂き、単純に調べてみて楽しそうだったので、ワーキングホリデーに行こうと思いました。
オーストラリアを選んだのは、フィジーで出会った方々でオーストラリアに行く方が多かったからという単純な理由でしたね(笑)。

オーストラリアでも運送業の仕事で様々な都市を訪れるなど、とても楽しく充実した日々を過ごしていました。

 

── 前田さん、いつでも楽しそうで素敵ですね! オーストラリアでのワーキングホリデーの後は一度日本で復職されたんですよね?

 

フィジーでもオーストラリアでもとても楽しい時間を過ごしたので、もう一度海外に出たいという思いはありました。
ただ、海外で仕事を探そうなんて当時は考えておらず、何もしないよりは日本で働いた方がいいと思っていました。

そんなとき、友人がセブに語学留学をしていたので、マニラとセブに旅行で訪れることになりました。
ここでも偶然出会ったフィリピン人の方に話しかけて親しくなり、良い思い出ができたことからフィリピンが好きになりました。
今考えると、突然会った方と親しくなって、行動を共にするなんて少し恐い部分もありますが(苦笑)。

補足:このとき出会った方とは今も連絡を取り合う仲だそうです。上手に懐に入り込める前田さんの様子が窺えますよね?

 

セブ就職を経て、セブで事業立ち上げへ。現地の方との関わりで難しさと楽しさの両方を知る。

前職の送別会にて(前田さんは左側一番奥)

友人に会うためにフィリピンを訪れた前田さん。
フィジーを訪れたときと同様、フィリピンでは日本と違う部分がたくさん見られ、とても刺激的で楽しい時間を過ごされたとのこと。
断ち切れない海外への思いもあり、ついに日本で携わってきた運送業を退職し、フィリピン・セブへ渡ることに。

会社を退職したものの、どうしていいかは分からない状態。
一体どのようにその後のキャリアを切り拓いてきたのでしょうか?

 

── 素敵な思い出のおかげもあり、フィリピンが大好きになったんですね。どのような経緯でセブでお仕事を始められたのですか?

 

当時セブで通っていた語学学校の代表からフィリピンの大手IT企業を就職先としてご紹介頂くことになりました。
ITについては未知の分野ではありましたが、挑戦してみたい気持ちはあったんです。
まずはインターンとして、給与も現地水準からのスタートでしたね。

 

── 当時は具体的にどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

 

BPO部門で日本語でのやり取りが必要なオペレーションに携わるコミュニケーターのような仕事をしていました。
フィリピン企業とはいえ、7割が日本のお客様だったので、日本語が必要な業務も結構ありました。
特に2年目以降は、部署内で日本語対応が必要な場合に頼れる存在という立ち位置で、マネジメントに近い仕事に携わっていましたね。

最初はインターンからのスタートだったので、フィリピン人スタッフの方々との距離も縮めやすかったのがよかったです。
フィジーでもそうでしたが、現地の言葉を習得するのも割と得意ですし、誰とでも仲良くなれるのはやはり僕の強みなんですよね。

 

── 人とコミュニケーションをとることが大好きな様子がここまでのエピソードで伝わってきます。海外で働くとなると、現地の方々と密にコミュニケーションを取り合うことが大切ですよね。

 

そうですね・・・フィリピン人スタッフの方々を食事に連れて行くなど、業務内・外を問わず、コミュニケーションを大切にしていました。
一緒に仕事をする中で、僕よりも優秀なフィリピン人スタッフの方が、自分よりもはるかに低い給与で仕事をしているのを知ったんです。
申し訳なさから「何か自分にできることはないか」という思いがありましたね。

おかげで、今でも当時の同僚とは連絡を取り合う関係性を築けています。

 

── 充実した日々を過ごしていたように思いますが、なぜ3年目で退職し、起業することになったのでしょうか?

 

「もう少し自分の力で何かに挑戦したい」という思いが強くなってきたからです。
ちょうどそのとき、僕がセブでお世話になっている起業家の方とお話をする機会がありました。
そこで、日本のようなパン屋がセブにはないことに目をつけ、会社を退職し、僕を含め日本人3人で"J-pan Bakery"というパン屋を立ち上げました。

僕は営業担当として、語学学校への卸売であればコストを抑えられると考え、知り合いの語学学校に声を掛け、販売先をどんどん開拓していきました。
思った以上に販売先も増え、順調に進んでいきましたね。
仕事自体も企業で勤めていた頃よりも主体的に取り組めており、非常に楽しく、充実していました。

 

── ここでも繋がりを活かして立ち上げられたんですね。語学学校への卸売という目の付け所もとても素敵だと思います。

 

一般企業ではないので、教育水準も様々な従業員のマネジメントに苦戦しながらも、引き続き事業を継続して下さっているパートナーの方にはとても感謝しています。
立ち上げたパン屋の従業員マネジメントについては、これまで勤めていたIT企業とは違った難しさを僕自身も感じていたので。

 

「フィリピンで何かしたい!」現地法人立ち上げでその第一歩を踏み出す。

社員旅行の様子(前田さんは左から2番目)

そんな中、フィリピンのIT企業で勤務していた頃の同僚である、現職の代表からフィリピン・セブの開発拠点を共に立ち上げないかというお話があったそうです。
パン屋の事業が難しい時期で一度はお断りしたものの、再度お話があったことから、2018年12月よりセブ拠点現地責任者としてジョインし、勉強を重ねながらバックオフィスの立ち上げを行った前田さん。
その背景や思い、充実した現在についてお話を伺ってみました。

 

── 現職もIT企業時代の同僚の方からのお誘い! 人との繋がりでどんどんキャリアを切り拓いていく姿がとても素敵です。

 

ありがとうございます!
代表も一緒に仕事をしていた頃に現地の方々の懐に入り込める僕の姿を見てくれており、現地の方々との関係構築能力や既に持っているネットワークを評価してくれたとのことでした。

僕自身もちょうど当時でフィリピン生活は5年目になっており、長い目で見て「フィリピンで何かしたい!」という思いはありました。
「何ができるか」を考えたとき、自身もこちらで会社を一度立ち上げる経験をし、将来的に自身の経験も踏まえながらセブに進出したい日本の企業をサポートしたいと思ったんです。

僕はすごくセブが好きですし、フィリピンの方々にこれまでたくさん助けて頂きました。
だからこそ、彼らに恩返しをしたいという思いがありましたし、それは今でも大切にしている思いでもあります。

 

── とても素敵な思いですね! ここまでのお話でもそうですが、前田さんの優しさが伝わってきます。現在のお仕事について教えて頂けますか?

 

主にITによるソリューションを提供する、株式会社gecogecoセブ法人の現地責任者として、人事・採用・総務などのバックオフィス業務を行っております。
「どうすればいい会社・組織を作れるのか」はもちろん、採用にあたっては一人ひとりの今後のキャリアも考えた上で採用したいと考えているので、各ポジションで描けるキャリアパスについても勉強しながら日々を過ごしています。

というのも、弊社は「個として強い組織」を目指しています。
将来的に独立を視野に入れているような成長意欲の高い方を求めていますし、会社としても応援したいという気持ちがあります。
実際、弊社は会社の収益をかなり社員に対して還元しようとしていますし・・・。

そのためには、弊社を通じてどのように成長し、その後どのようなキャリアを歩めるのかを予めイメージできるようにしておく必要があると思うんです。
社員の方々には常にモチベーションを高く持ち、楽しく働いて欲しいと思っています。

 

── いろいろと勉強しながら、充実した日々をお過ごしな様子が伝わってきます。現在のお仕事のやりがいや楽しさについて教えて頂けますか?

 

日々新しいことに挑戦できること、特に採用やバックオフィス業務に携われることが楽しいですね。
僕の原動力はなんといっても「人」なので、社員という身近な人のために日々頑張れるのはすごく励みになっています。

また、立ち上げ時は一人で始めたセブ法人ですが、現在は日本人・フィリピン人併せて6名のメンバーで運営できるようになりました。
会社の成長に合わせて採用も進めてきたので、会社や組織の成長を実感できて嬉しいですね。

 

── 逆に、難しさや大変さはありますか?

 

正直なところ、苦労したことや難しさは思い浮かびませんね・・・。
基本的に楽しいことが大好きで、とてもポジティブなので(笑)。

強いて言うなら、まだマーケティングの楽しさを見出せていないことぐらいでしょうか。
現在、自社プロダクトを持とうと立ち上げたポイント比較サイト、“ポイポ”のマーケティングを担当しているのですが、勉強しながら進めてみても、なかなか難しい部分がありまして・・・。
マーケティングは関わる人の反応が直接見られる訳ではないので、僕にとってはやや楽しみが見出しづらい部分が正直あります。

 

── 難しさや苦労はないとは・・・どんなことも楽しめる前田さんらしいです(笑)。前職でも現職でも海外でマネジメントをされていますが、何か心掛けていることはあるのでしょうか?

 

相手の国籍を問わず、何より大切にしているのはコミュニケーションです。
仕事だけではありませんが、どんなときも結局は「人」じゃないですか?
みんなに楽しく働いて欲しいという思いがあるので、日常の細かいコミュニケーションにも気を遣うようにしています。

感情のコントロールが上手く出来ず、フィリピン人スタッフを人前で叱ってしまい、苦い思いをした経験も当然ありますけどね(苦笑)。

 

気になる今後と海外で働きたい方へのメッセージ

 

── 今後の事業展開についてはどのようにお考えですか?

 

先程も申し上げましたが、会社組織の人員が増え、会社の成長を実感する瞬間が何よりも大きな喜びです。
今後も会社をどんどん大きくし、求人広告に頼らなくても優秀な人材を採用できるほどのブランドを確立していきたいという思いがあります。

 

── 前田さんご自身の今後についてはいかがでしょうか?

 

セブに進出する日系企業の起業支援をしたいと変わらず思っています。
法人登記、営業許可申請、就労ビザの取得・・・日本人がフィリピンで会社を立ち上げるにあたって必要なプロセスをすべて経験したので、それを活かしていきたいと考えています。

IT企業に勤務し、現在もIT企業の経営に携わっているものの、僕自身は正直ITにすごく強い訳ではありません。
それ以外にも、現状では特筆すべきスキルがあるとは思えませんし・・・。
今後は自分の力でどこででも生きていけるスキルを身につけ、磨きを掛けていきたいですね。

 

── 素敵な目標! 最後に、海外で働きたい方へのメッセージをお願いします!

 

僕自身は海外に出てすごくよかったと思っています。
英語が話せることで、より多くの方々と関わることもできますし、それが自分の視野を広げると思うんです。
プラスの要素しかありませんよね?

僕自身もきっかけは“なんとなく”でしたが、まず一歩踏み出すことでそこから見えてくるものもあると思っています。

 

まとめ

いかがでしたか?

「僕の原動力はなんといっても人!」
そのお言葉通り、どこに行っても国籍を問わず、良好な人間関係を構築できる前田さんの姿、とても素敵でしたよね!
常に周囲への感謝を忘れず、そして常に優しさと思いやりを持って人々と接する前田さんの姿勢、数々のお話からたっぷり伝わったかと思います。

前田さんが海外へ飛び出したきっかけは“なんとなく”。
ただ、そこからご自身で現地の方との関係作りに取り組んだり、現地で日本人の友人を作ったり・・・自ら積極的に行動をしながら「人との繋がり」を築いていきたからこそ、ここまでキャリアを切り拓いて来られたのだと思いました。

前田さん、この度は貴重なお話をお聞かせ頂きまして、ありがとうございました!
貴社の発展と前田さんの益々のご活躍を祈念しております。

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Jiyoung Baek

セブ留学がきっかけで東南アジアの虜に!! フィリピン・セブでの海外インターンを経て、ベトナム・ハノイで海外就職。約2年に渡って大好きな東南アジアで働きながら、旅をする生活をしていました。 現在は自身の海外経験を基に、旅するインタビュアーとして海外で活躍する方々を取材し、「海外で働くとは」について発信することで、海外で働きたいけど一歩踏み出せない方に挑戦のきっかけを作るべく奮闘中。 どんなときもアジアの眩しい陽射しのような笑顔を忘れず、頑張っています! 日々大事にしていること「やらない後悔よりやって後悔、何でもやってみる!」