日々雑感

手放す「覚悟」

先日、60歳での引退を表明していた
ソフトバンクの孫正義社長が前言を撤回して
次期社長に内定していたインド人のアローラ副社長が
会社を去るというニュースが世間を騒がせました。

僕ごときが日本を代表する社長である孫社長の行動に対して
何か言えることはありませんが、一つこのニュースで
感じたことは「手放す」ということの難しさです。

もっと言うと「手放す覚悟」をすることの難しさ。

僕は前職で会計士でコンサルティングファームに勤めていて
そこで事業再生の部門に在籍していました。

その仕事の中で多くの企業、特に業績が芳しくなく経営が傾いている
会社の経営者の方とお話をする機会を数多く得ました。

そこで感じたことは「手放すこと」の難しさ。

経営に長年携わっていた社長の下、外部の環境変化に
対応することができず業績を悪化させていたく例をたくさん見ました。

また、もっと早く事業の継承をしていればよかったのに
それをすることができずに古い体制を温存してしまった例も。

そのようなことが起こってしまうのは、
社長が手放すべき時期に次の世代にバトンを
渡すことができなかったということも原因の一つ。

ほとんどの場合、バトンを渡すことを考える時や
良いタイミングはあったはずなんです。

でもそれが難しい。

下記のような記事を最近ネットで見かけました。

「ビジネス自体に関心を持つプロ経営者と違い、創業者にとり会社はもはや体の一部。
それだけに後継者を決めるのは難しい」

僕などが簡単にどうこう言えることではないのですが
引き際を見定め、適切に次世代にバトンを渡すことができる経営者は
そんなに多くないのかもしれません。

であるからこそ、晩節を汚してしまった経営者は星の数ほどいます。

しかし、自分の引き際を見定めて、
次世代に適切にバトンを渡そうとしている方もいます。

僕の友人(というか大先輩)の中にも
今まさにそれを行おうとしている人がいます。

今現在持っているものを手渡し、自分は後輩の教育に回る。
もしくは自分は手渡した上で新しいことを始める。

そういったことを始められる方もいらっしゃいます。

僕は色々な例を見てきただけにそういうことを
される方がたまらなく魅力的に見えるんです。

そして、不思議なことにその手放す覚悟をして実行した結果、
不思議なことに手放したものより多くのものを
得られることも多いようです。

「自分の役割」を見定める勇気と見識と覚悟を持つ。

そこには明確な答えなんてないのはわかっています。

でもそんなふうに人生を歩いていきたいと思いました。

※孫正義社長や長く経営に携わっている方に対しては尊敬の念しかありません。
今回の記事は彼らへの批判の気持ちは全くないことを付け加えておきます。

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岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒