転職エージェント訪問記:【タイ・バンコク】アデコ タイランド
目次
1.アデコ タイランド 会社概要
アデコ グループ(Adecco S.A.)は、1957年にスイスにて設立した大手人材派遣会社ADIA(アディアグループ)と、1963年にフランスにて設立した大手人材派遣会社ECCO(エコーグループ)とが合併し、1999年にADECCOとして発足した世界最大の総合人材サービス会社。世界71エリアに6,000以上の支店を持ち、現在、スイス証券取引所、ニューヨーク証券取引所、ユーロ証券取引所に上場。
バンコクを中心に6つの支店と2つのスペシャリスト部門をもつタイで最大のリクルートメントカンパニー。1989年の設立以来、日系企業を含む数多くの企業と求職者に様々な人材サービスを提供。タイ国内の認知度は非常に大きい。
【主なサービス内容】
人材紹介サービス・人材派遣サービス・採用一括アウトソーシング・給与計算アウトソーシング・転籍サービス・HRコンサルティング・アセスメントセンター・ヘッドハンティング・通訳&翻訳等
【ジャパニーズ ディビジョン】
タイでお仕事を探す日本人と日本語を話すタイ人の人材紹介及び人材派遣に特化した専門部門。タイ現地での豊富な経験と日本、シンガポール、香港等の海外ネットワークを駆使し、皆様をフルサポートしている。日本人2名、タイ人8名が在籍
住所:979/72-74 SM Tower, 25th Floor, Phaholyothin Road,Samsennai, Phayathai, Bangkok 10400
2.前田健太(Division Manager)
アメリカで生まれ。新卒で証券会社に入社後、他の人材紹介に入社。その後2012年にアデコタイランド入社。
3. タイ経済及び日本人就職状況
岡本:最近のバンコクの経済状況と日本人の就職状況はいかがでしょうか?
前田さん:バンコク経済について言うと、以前の活況な状況と比べる少し下火になりつつあります。ただ、日本人の採用ニーズは相変わらず高まっています。理由は日本人駐在員を日本人の現地採用へシフトしていることも採用ニーズが高まっている理由です。特に日系企業への営業職の求人はますます増えてきています。
岡本:求人の業種は製造業がメインでしょうか?
前田さん:そうですね。やはり自動車を中心とした製造業がメインになります。ざっくりとした弊社に寄せられる日本人求人の状況は下記の左のグラフになります。
岡本:なるほど。職種についてはいかがでしょうか?
前田さん:やはり、製造業やその販売子会社及び工業品を扱う商社の営業が日本人の求人の中心になります。弊社の具体的な求人の割合は上記の右のグラフのようになります。
岡本:求人の場所別の状況はどうなっていますか?
前田さん:バンコク市内が中心ですが、工業団地を中心とした郊外にも求人がありますね。求人割合でいくとバンコク市内70%、その他の地域で30%といったところでしょうか。
岡本:どのような人材が求められていますか?
前田さん:年齢で言うと25歳〜33歳くらいの方で英語が出来ればOKです。タイ語については出来ればベターですね。営業職での就職を考えているならば、営業経験プラス就職先と同じ業界の経験があるとかなり決まり易いです。ただ、人柄や熱意といった側面も重要視されます。むしろ経験がなくてもそれらが評価されて就職が決まるケースもあります。
4.就職活動及び現地の待遇について
岡本:履歴書はやはり英語が必要なのでしょうか?
前田さん:会社によりますが、窓口が日本人の担当者の場合は、日本語でもOKな場合が多いです。しかし、弊社のクライアントの場合、7割程度がタイ人人事担当者を置く企業になります。その場合は英語の履歴書が必要になります。
岡本:ビザの発給状況はいかがですか?
前田さん:提出ドキュメントは1年と比べるとやや厳しくなってきた傾向がありますが、他の国と比べて厳しくはないですね。BOI(タイ投資委員会)登録企業ですと、大学卒の資格がなくてもほとんどのケースで問題なくビザはおります。逆に新規進出してきたような企業ですと待たされたり、最悪の場合出ないケースもまれにあります。ただ、そこまで厳しくないのが現状です。
岡本:一般的な日本人現地採用の給与はいかがでしょうか?
前田さん:外国人の最低賃金は法律で定められていて、50,000バーツ(180,000円程度)が最低賃金になります。ただBOI登録企業の場合、その最低賃金の下限が定められていないのでそれより低い場合もあります。まぁ、そこまで経験がない職種や業種にアプライするのであれば50,000〜60,000バーツスタートと考えておけば良いでしょう。
岡本:他国と比べても悪くないですね。
前田さん:物価も安いですし、悪くないと思います。日本にいるとき以上に貯金出来る人も多いです。
5.タイ就職活動における面接の留意点
岡本:タイ就職の際の面接ではどのようなことを聞かれるのでしょうか?
前田さん:特に特別なことを質問されるわけではありません。「どうしてタイで就職をしたいのか?」「日本での仕事の内容は?」など基本的にことが多いです。畏まった形式ではなく、雑談のような面接のケースも多いです。面接官は人事ではなく、直接の上司にあたる人と行うケースが多いですね。フィーリングで選ばれることも多いように感じます。
岡本:英語での面接も行われますか?
前田さん:英語の面接を行うかは企業の業種、職種、仕事内容にもよりますが、求人の割合でいくと半分くらいだと思いますね。英語力は単純にTOEICで図れない部分もありますが、600点くらいは求められると思います。
岡本:面接はタイに来る必要はありますか?
前田さん:全体の95%はタイで最終面接は行っていただくことになります。ただ、まれに国際電話やSkypeで決まってしまうケースもあります。ただ少数派ですね。
岡本:面接の際の留意点はありますか?
前田さん:人によっては面接は自分を売り込む場であるにも関わらず、その認識がない方もいらっしゃいます。企業に選んで頂くまではあくまで選んでもらう側であることを忘れてはいけません。良い案件には求人が殺到するのが現状です。面接を受ける会社のHPするチェックせずに面接に臨む方もいますが、それは論外です。
岡本:なるほど。他にはありますか?
前田さん:人によっては「自分で務まるでしょうか?」「残業はありますか?」など面接の場で聞くには適さない質問をしてしまう人もいます。先ほども言いましたように、自分は選んでもらう側であることはきちんと認識して面接には臨んで下さい。
6.タイは心の底から自信を持ってオススメ出来る国です
岡本:どのようなスタンスで人材紹介のお仕事をされていますか?
前田さん:私は、求職者のお話を伺った後、比較的多くの求人をお出しするようにしています。中にはその方のニーズに合わないものもあるかもしれませんが、ご本人が気づいていない可能性や道もあるかもしれないと思っているからです。とりあえず広く紹介して、そこから選んでもらうようにしています。また過剰なコンサルティングやアドバイスも入れないようにしています。もちろん、ご相談いただければお答えしますが、ご自分で考え、ご自分で決断していただくことが大切だと思っています。
岡本:なるほどですね。最後にどのような人にタイで就職をしてほしいですか?
前田さん:タイは日本人に取って住み易く、心の底から自信を持ってオススメ出来る国です。是非、興味がある方にはチャレンジしてほしいと思います。海外就職は決めの問題だと思います。肚を据えて決断し、着実に実行すれば成功させることは出来ると思います。そこにはどれが正解という答えはないかもしれません。でもご自分のフィーリングに従って進めば良いと思います。点と点はつながります。是非、タイに来て下さい。
岡本:長い時間ありがとうございました。
前田さん:こちらこそ、ありがとうございました。
7.インタビューを終えて
アデコは世界最大の人材紹介会社であり、タイ国内でのプレゼンスもとても高いです。そのため多くの企業の求人を幅広く取り揃えているとのことでした。また、前田さんは若いながらもとても話し易い方だと思いました。人材紹介というお仕事に対するスタンスもしっかりとしています。タイでお仕事を考えていらっしゃる方は連絡を取ってみて下さい。