インドネシアの経済状況
1.インドネシア経済概要
インドネシアの一人当たりGDPですが、3,600ドルと日本の約10分の1の水準になっています。周辺国の中で考えると、タイ・マレーシアより若干落ちるが、フィリピン・ベトナムなどと比べるとかなり上というレベルです。ただインドネシアも他のアジアの途上国と同様、都市部と地方の都市や同じ都市部内でも貧富の差は大きく、お金を持っている人は平均的な日本人よりもお金を持っています。人口も日本の2倍ということでかなりの規模の中間層が育ってきています。首都ジャカルタに行くと高層ビルが整然と立ち並び、非常に発展している様子を窺い知る事ができます。
インドネシアのGDPは2005年から2012年の7年間で3.1倍になりました。これは他のASEAN諸国と比べてみても突出する伸びになっています。ちなみに日本を含むGDP金額が大きい国のデータも下記に掲載しました。GDPの規模は大きいですが7年間で1.3倍の増加はかなり控えめな数値ですね。
2.日本との比較
日本を100%とした場合のインドネシアGDPは18%と経済規模で見ると日本に遠く及びません。またインドネシアは日本の2倍の人口を擁していますので一人当たりのGDPに直すと9%とその差はさらに大きく開きます。
一方で、GDPの成長率は安定して6%を超え、0%成長の日本と比べて目覚ましいものがあります。特に首都ジャカルタの発展は凄まじく、毎日新しいものが出来上がり、国が発展していっている様を感じる事ができます。また、都市部では中間層から富裕層が大量に出現しており、生産拠点だけではなく市場としての魅力も増してきています。
3.インドネシアの産業
インドネシアの産業構造は、もともと農林水産業中心でしたが、工業化とともに製造業中心に移行しました。2012年のGDP産業構成比をみると、製造業が 25.6%と最も大きく、農林水産業は 12.5%、鉱業・採石業 7.4%となっています。また、近年では製造業が縮小する一方、運輸・通信、商業・ホテル・レストラン、金融業などのサービス産業が成長しています。
4.インドネシアの輸入及び輸出産業
上記の表はインドネシアの輸出及び輸入の上位10位までの品目になります。主要輸出品目は、石炭、天然ガス、石油などのエネルギー、パーム油や天然ゴムなどの農産物といった天然資源が中心となっています。工業製品では、電気機器が 3.3%と構成比で8位となっています。かつてインドネシアはアジアを代表する産油国でしたが、原油生産量が減少し、04 年には純輸入国に転じ、08年には石油輸出国機構(OPEC)を脱退しました。インドネシアは天然ガスを輸出する一方で、石油製品を多く輸入しています。このため主要輸入品目でも鉱物関係の石油製品・原油が上位に位置しています。
上記は輸出入国の上位10カ国です。輸出については日本は1位、輸入については3位となっています。以前は輸出入とも日本の占める割合が圧倒的でしたが、近年は中国や他のASEAN諸国との経済的な関係が深まっている事が伺えます。
日本との貿易ですが、インドネシア側から見ると恒常的な貿易黒字となっていて、輸出については2011年、輸入については2012年を境に減少傾向にあります。これはインドネシアが日本一辺倒ではなく、中国、韓国及び他のASEAN諸国との経済的な関係を深めていることの現れと捉える事ができます。
貿易の内容を見ていくと、日本への輸出は石炭、天然ガスなどの鉱物資源が中心となっています。一方で輸入は一般機械、及び鉄鋼など製造業に用いる原材料系の製品、さらには自動車などの輸送機器が中心となっています。
5.インドネシアへの直接投資の状況
インドネシアへの直接投資額でいうと日本からの投資が一番多く、肉薄している2位のシンガポールからの投資も日本企業のシンガポール経由からの投資がある程度占めていると考えられ、直接投資面では日本は他国と比べて多額の投資を行っています。