世界一周後、セブ島で日本語学校を展開する高山秀実さん「誰もが人生を楽しめる世の中を」
こんにちは!
BEYOND THE BORDER ライターのペクです!
今回はフィリピン・セブで日本語学校事業を展開されている、高山秀実(たかやまほつみ)さんにお話を伺いました。
大好きなサッカーに没頭した学生時代、世界一周の経験、そして思わぬ縁からセブでビジネスをするに至った今・・・
誰もが人生を思い通りに楽しめる世の中を作りたい!
そんな想いで日々挑戦を続ける高山さん。
お話を伺う中で、ご自身の挑戦したいものや好きなものにとことん向き合ってきた高山さんだからこそ伝えられる、熱いメッセージや想いがたくさん感じられました。
海外で働きたいけど悩んでいる方はもちろん、新しい挑戦を後押しして欲しい方、是非ご覧下さい!
※記事中の回想写真については高山さんご本人から頂戴したものです。
目次
高山秀実さんとは?
同志社大学卒業。大学在学中にマニラ留学の後、世界一周の旅へ。大学卒業後は日系大手人材紹介会社にて勤務し、2017年12月よりフィリピン・セブへ。語学学校で日本とフィリピンの同世代の子供たちをビデオチャットで繋げる事業の立ち上げにインターンとして参加、現在はこれまでの日本語教育の課題である「資格はあるのに話せない」状況を打ち破るべく、日本語教育事業のCEOとして日々奮闘中。
マニラ留学や世界一周経験があるんですね!元々海外に関心があったのですか?
元々は全く海外に関心なんて無かったです(笑)!
というのも、幼い頃はプロスポーツ選手が夢で、高校までサッカー三昧の日々でした。
度重なる怪我に悩まされた結果、高校で夢を諦めざるをえなくなりましたが・・・
大学進学を控えた頃、サッカー以外に何ができるかを真剣に考えた上で、人生で大切なことをたくさん教えてくれた中学時代の恩師のようになるべく、教員の道を志すようになりました。
新たな目標とともに大学へ進学、楽しく充実した日々でしたが、途中でふと立ち止まって考えたんです。
このままただ楽しいだけの日々を過ごしていいのだろうか?何かが違う気がする・・・
そう思った僕は、新しい挑戦をすべく19歳・大学2年生のときにインド行きのツアーに参加したんです。
インドで出会った仲間は本当に様々な挑戦をしており、それらすべてが自分にとって新しいものでした。
彼らの影響を受け、自分の目で世界を見てみたいと思った僕は大学を1年休学し、3ヶ月のマニラ留学を経て世界一周を果たしました。
ものすごい行動力!また、絶えずいろいろ考えておられる様子が窺えました。
世界一周後はなぜ一般企業へ就職という選択をされたんですか?
教員になる夢は世界一周後も変わりませんでした。
ただ、世界一周を通して、「学問だけではなく、人生において大切なことを伝えられる人でありたい」という思いの強さを再認識することになりました。
そこで、社会人経験を積んだ上で教員になろうと思い、就職活動をすることにしました。
数ある業界の中で人材業界を選んだ理由は?
就職活動において、僕がブレることなく伝え続けていたことが一つあって・・・
一度しかない人生を思い通りに楽しんで欲しい!
ということです。
幸いにも、僕は若いうちに大好きなサッカーに没頭できたし、バックパッカーとして世界一周の旅にも行きました。
旅先で危険な目に遭遇して死を意識した瞬間もありましたが、そのときどき自分のやりたいことをやってきたので、いつ死んでも後悔がない生き方をしてきたと思っています。
その一方、日本では多くの若者が受験やテスト、学校でのいじめ、就職活動・・・様々な理由で自ら命を絶ってしまいますよね?
僕自身もいじめに悩んだ経験もありますが、だからと言って命を絶つのは違うと思っていて。
若者の自殺という問題は、教員として現場で向き合いたいという思いはもちろん、社会人経験を積むための企業でビジネスとして寄与したいという思いもありました。
僕が入社した企業は「社会の問題点を解決する」という理念の下、人材ビジネス以外にも障がい者・高齢者支援等、幅広く事業を展開し、新規事業もたくさん立ち上がっていました。
若者の自殺問題を解決する具体的な方法が描けてはいませんでしたが、そこで仕事をする中で解決の糸口が見つかるかもしれないという期待を持って入社しましたね。
自分の軸に従って移ったセブ、新たな挑戦の始まり
ここまで新たな目標に向かって順調に進んでいるように思いました。
そんな中、どうしてセブで働くことになったのですか?
本社と比べて中途採用の多い札幌の営業所へ配属となったのですが、企業理念の実現に向けてひたむきに走る人が思ったより少なくて・・・
3年ほど働いた頃、再び「毎日楽しいけど、このままでいいのかな?」という瞬間が訪れたんです。
ちょうどその頃、マニラ留学時代の語学学校の社長から新規事業立ち上げのお誘いを頂きました。
何か新しい挑戦をしたかったのでそのまま退職し、お誘いに乗る形でセブで海外インターンをすることになりました。
そこから日本語教育の事業に携わり始めたのでしょうか?
当時携わっていた事業は、フィリピンの子供たちと同年代の日本の子供たちをテレビ電話で繋ぎ、友達作りを通して日本語と英語をお互いに教え合うというものでした。
教え合うと言っても、フィリピンの小学校で日本語の授業はないので、教えてあげる必要がありますよね?
そこで、僕が実際に小学校へ訪問して話をする中で提携先を見つけ、派遣講師として小学生に日本語を教えていました。
世界一周の旅やマニラ留学を通して、語学を学ぶ上ではただ暗記するのではなく、誰かと「もっと仲良くなりたい」という気持ちを持つことが大切だと強く感じていました。
だからこそ、友達作りを通して英語を学ぶというアプローチが非常に面白く感じられましたね。
確かに面白いアプローチですね!それが今の事業に携わるきっかけに?
面白く、共感できる事業でしたが、なかなか収益化が見込めなかったんです。
そんな折、かねてよりお付き合いしていた方と結婚し、家族ができることになりまして・・・
家族を養うためにも何か一発事業を立ち上げようと思いました。
それは素敵ですね!おめでとうございます!
ありがとうございます(笑)。
僕が関わりたいのは一貫して教育、かつテレビ電話の事業に携わる中で日本語学習の需要の大きさにも気付きました。
だったら、自分がやってきた「日本語を教える」ことを形にしようと思ったんです。
ただ、単に個人に対して日本語を教え、授業料を収入にするだけでは不十分なので、フィリピンの方々を日本に送り出すビジネス(いわゆる「送り出し」)と組み合わせる必要がありました。
送り出しの具体的な難しさのイメージが全く湧かなかったので、とにかくいろいろな方にお話を伺いましたね。
僕の妻はフィリピン人なので、当初は妻名義で会社を設立して起業しようとしており、4ヶ月ほど模索していました。
そんな中、最後に出会ったIT企業の社長の方が日本語事業も立ち上げようとしていて・・・
日本語事業に専任で携われる人手を探しておられ、お互い話をする中で「一緒にやりませんか?」とお声掛け頂いたんです。
カリキュラムを作っている方が、セブで日本語教育をされている方の中で僕がとても尊敬している方でして!
その方と一緒に事業を進めていきたいという思いもありましたし、単なる暗記ではなく、日本語を楽しく学んで欲しいという僕の軸とも合致していたので、日本語事業のCEOとして事業に携わることになりました。
難しさもありながら絶えずワクワク!セブで理想の日本語教育の実現に向けて奮闘する日々
なるほど!現在はどんなお仕事をされていますか?
今日は講師として日本語を教えていましたが、僕が日本語を教えることはあまりありません。
普段は日本語授業を多くの企業様、あるいは個人の方に導入して頂けるよう営業活動に注力しています。
校舎を構えて日本語教育を行っていないので、皆さんがイメージする「学校」を運営するというよりは、日本語教育のコンテンツを提供する会社を経営しているという感じでしょうか?
日本語教育のニーズは高いけれども、テキストやノウハウがないという団体に対して、講師を派遣し、授業を提供したり、ゲストハウスや英語を教えている語学学校の一部スペースをお借りして、複数の個人向けに授業を実施しています。
今後さらにクラスを導入して頂けるお客様を増やすことが今の最大の目標です。
また、日本語を教えるのはフィリピン人講師なので、実際に各授業の見学に訪れ、講師のスキルをチェックすることもあります。
日本語講師の方はフィリピンの方々なのですね!少し意外でした。
もちろんカリキュラムや講師のトレーニングは主に日本人によって考えられています。
しかしながら、メインはフィリピン人講師とし、授業の中で週2回程度ネイティブスピーカーである日本人と話す時間を設けるのが理想だと弊社では考えています。
日本人講師とフィリピン人の受講生には言葉の壁がありますし、第一言語として日本語を習得した日本人講師では、第二言語として日本語を学ぶ外国人の方々が躓くポイントが上手く掴めないケースもあるからです。
フィリピンでの日本語教育は、日本語能力試験(JLPT)に合格するための勉強と化してしまうケースが多く、それが日本の英語教育と同様、「資格はあるが、話せない」という状況を生み出していると考えています。
この問題を打開するには、フィリピン人日本語講師が実際に学んだ経験を活かしながら、生徒たちに教えていくことが鍵だと考えています。
事業を展開される中で大切にされていることはありますか?
もちろんビジネスなので利益を追求することは大切ですが、利益を追求する過程で問題が生じているのも事実です。
よって、弊社が提供する授業でも弊社の事業自体でも、自分が正しいと思うことや自分の軸にはとことんこだわりを持っています。
待つことを大切に!
僕が講師を務めるときはもちろん、他の講師にも答えをすぐに教えず、待つことを大事にするよう伝えています。
いかに授業を楽しめるかを考えると、自分で考えながら学べるのがベストだと考えているので。
講師・授業の質へのこだわり
正直なところ、日本語を教えられるフィリピン人日本語講師をセブで探すのが難しく、講師のアサインには苦戦している部分もあります。
だからと言って、ただ話せるだけの講師を講師として採用し、授業をすることはしません。
日本語を「話せる」人材を「教えられる」人材に育てるべく、しっかり時間とコストを掛けてトレーニングをしています。
送り出し事業におけるこだわり
我々は安い賃金で働かざるをえない技能実習生として送り出さず、該当する事業体で日本人と同水準の給与が得られる、特定技能人材のカテゴリで送り出しをしています。
もちろん技能実習生として多くの方をご紹介すればその分利益は上がります。
それよりも自分が携わる方々に人生を楽しんで欲しいという思いや日本の社会問題を解決できる一員となりたいという思いが強いので。
こだわりをしっかり持って突き進む上で大変なことも多そうですが・・・
まだ昨年7月に立ち上がったばかり、もちろん難しいことばかりですよ(苦笑)!
インターン時代に顔を出していたLanguage Exchangeコミュニティの人脈を使って認知度アップを図ったり、いろいろな方や企業様を紹介してもらったり・・・
もちろん受講を検討されている方に料金設定を見て断られたりもしますが、我々だからこそ出せる魅力を愚直に伝え続けることで、必ず共感して下さる方がいらっしゃると思っています。
受講生が日本語をどんどん話せるようになっているとすごく嬉しいですし、彼らが自分なりに思考しながら学んでいく姿を見て僕自身も学ぶことが多いです。
それが励みややりがいにも繋がっていますね。
有難いことに、導入して下さる企業様も増えてきており、厳しいフィードバックを頂くかもしれませんが、それも含めてこれからにすごくワクワクしています。
卒業生が晴れて日本に旅立つ瞬間に立ち会ったり、渡日後にイキイキと生活する姿・フィリピンへ明るい顔で戻ってくる姿を見る日が来るのも本当に楽しみですし・・・
高山さんが描く未来、そして海外という舞台で挑戦しようとする方へのメッセージ
絶えず考えながら、熱い思いと並々ならぬ行動力でここまで突き進んできた高山さん。
自分の軸や原体験を明確に持っているからこそ、点が線となってここまで繋がっていることが強く感じられました。
そんな高山さんの今後、とても気になりますよね?
これから海外就職に挑戦する方々へのメッセージも併せて伺ってきました!
高山さんの気になる今後~日本とフィリピンの架け橋に~
今の事業を通して、もっと「日本語を学びたい」、「日本に行きたい」という気持ちを作り続けたいと思っています。
多くの方が日本で就業経験を積み、彼らの経験がフィリピンを豊かにするきっかけになるのが理想です。
また、フィリピンの方々は本当に前向きで明るいのですが、計画性がない部分も正直あります。
一方、日本人は計画性を持って取り組めるのは素晴らしいのですが、考え過ぎてしまう部分もあると思っていて。
両者のいいところを掛け合わせて、仕事はもちろん、人生も最大限楽しめる世の中を作りたいと思っています。
今後も「誰もが人生を楽しめる世の中を」「社会問題を解決できる一員になる」を軸に、日本とフィリピンの架け橋になりたいですね!
海外就職に挑戦する方々へのメッセージ
正直なところ、挑戦するにあたって「日本だから」「海外だから」はないと思っています。
ワクワクすること、楽しいと思えることにどんどん挑戦すればいいし、やりたいことをできる方法を探して欲しいと思っているので。
それを踏まえた上で、以下でしょうか?
常に「なぜ」を考える、原体験をしっかり持っておくこと
ワクワクする気持ちや直感で未来への選択をしてはいけないという意見もありますが、僕自身は直感で選んできました。
ただ、直感で選ぶにしても自分の軸や原体験は大事で、それを見つけるためにしっかり自問自答したり、周囲の人と話し合うことは必要だと思っています。
仕事って楽しいものではありますが、ときに困難を伴ったり、泥臭い場面ってありますよね?
原体験や強い思いがないと、それらを乗り越えられないんです。
僕にとって「人生を楽しんで欲しい」という思いが軸ですし、それは世界一周の旅を通して感じたことが原体験になっています。
だからこそ、ここまで困難と向き合いながらも突き進んできたし、これからも進んでいけると感じています。
チャンスに溢れるセブですが、思わぬデメリットも!?
今いるセブでは経営者の方と近い距離でお会いできる機会も多く、フットワークが軽い方にはチャンスと可能性が広がっている環境だと思います。
僕自身も大好きなフットサルを通して人脈を広げたり、食事やその他のお誘いには積極的に参加しています。
新しい出会いを通して学ぶことが本当に多く、刺激的ですね。
ただ、生活費は意外と掛かります(笑)!
物価も安いので生活しやすいとよく言われますが、日本食はもちろん、なるだけ美味しいものを食べたいという欲求ってどうしても出てきてしまうんですよね・・・
そういう意味でも、自分が海外に来る目的を明確にしておくことが何より大切だと思っています。
まとめ
いかがでしたか?
自分の軸を何よりも大切に、絶えず考えながら行動してきた高山さんだからこそのアドバイス、私はとても胸に刺さりました。
取材先のゲストハウスでお食事をご一緒させて頂いた際にも、周囲の他の日本人の方々に積極的に声を掛けられていた高山さん。
理由を伺うと、「場所を借りて授業をさせて頂いているので、ゲストハウスの運営者の方はもちろん、お客様とも良好な関係を築きたいと思っているから」とのこと。
取材で見せて下さった熱い思いや類まれな行動力に加え、とても謙虚で周囲の方々を魅了する人間力も垣間見ることができました。
今回のお話ですが、これから海外就職をする方はもちろん、何か新しい挑戦をする方にはとても参考になるお話がたくさん詰まってましたよね?
是非自分の大事な軸や原体験について一度考えてみた上で、一歩踏み出す一助となりますと幸いです。
高山さん、改めまして素敵なお話を聞かせて下さりありがとうございました!
今後の益々のご活躍を祈念しております。
Asian Language Support Service Corporationのご紹介
今回取材させて頂きました高山さんが運営されている、Asian Language Support Servicec Corporationがご提供されている日本語授業の様子をご紹介させて頂きます。
今回の授業では道を尋ねたり、教える際の表現についてロールプレイをしていました。
右側の女性が電話を持っているのは、電話で現在地を伝えている様子です。
「日本語を話せること」をゴールにしているので、授業では単にフレーズを教えるのではなく、このように生徒様主体で絵を見て考えたり、ロールプレイをする時間を多く取り入れています。
また、IT技術を活かし、ゲームを通して日本語を学べるシステムについてもご紹介頂き、体験させて頂きました。
生徒さんも素敵な笑顔で本当に楽しそうに学んでいますよね?
テキストにある状況だけではなく、実際に授業をしているゲストハウスから彼女たちの職場への道のりを説明していたり、しっかりと応用をしながら日本語を習得している様子が窺えました。
日本語を学びたい個人の生徒様はもちろん、社員への福利厚生や社内の日本語教育をご検討の企業様にどんどんご依頼を頂き、導入を進められているとのことでした。
高山さんの今後はもちろんですが、事業を通して高山さんが作り上げていく未来も本当に楽しみですよね!
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