シンガポール就職・転職における労働条件及びビザの発給条件
1.シンガポール日本人現地採用の一般的な労働条件
営業スタッフ:30万円〜40万円
営業事務:30万円〜35万円
経理スタッフ:30万円〜45万円
管理職、専門技術職:40万円〜60万円
シンガポールでの就職は一般的に他のアジア諸国と比べて求められる英語力及び実務能力が高いため、難易度は高くなっています。しかし、その分給料や待遇は他のアジア諸国と比べてかなり高く、日本国内での給与水準程度もしくはそれよりも高い待遇で採用されることも珍しくありません。また即戦力を求められるため、実務経験がない大学卒業後すぐの就職は難しく、30歳代から〜40歳代の中堅層や高い専門能力やマネジメント能力を持った人材の求人は多数あります。業種については製造業、商社、金融業、IT関連、物流、飲食などのサービス業と非常に幅広く求人があります。また職種についても幅広く、営業、営業事務、カスタマーサポートなどから、日本のアジアを統括する部門が多く進出していることから経理や財務関連の職種、また秘書業務などの求人も多数あります。また日本レストランのシェフや店舗統括などのお仕事もあります。これらの仕事にはかなりの英語力及び業務スキルが求められるのは前述した通りですが、基本的にはシンガポールに進出している企業に対する営業やサポートの仕事が多く、きちんとした日本人としてのビジネスマナーや言葉遣いといった素養も求められます。また日本企業の採用以外にも各国のグローバル企業の求人も数多くあり、待遇も非常に良いものが多いです。ただし、求められる英語力及びビジネススキルも非常に高く、能力が認められないとすぐに退職を迫られるという厳しいですが、能力がある人にとってはチャレンジングな環境で仕事をすることになります。
2.一般的な労働環境及びその他待遇
シンガポールで働く場合、駐在員、外資系企業での雇用、現地企業での雇用など様々な雇用形態がありますが、これから海外就職を目指される方にとっては日本企業の現地採用スタッフとして働くことがほとんどです。シンガポールの現地日本企業で働くことを前提とすると日本国内の労働環境とそこまで大きな待遇の差はありません。ただ上司が日本から駐在員として送り込まれてきた日本人であり、彼らと良い関係を築くことができるかが大きなポイントになります。また日本と比べて(特に外国人)労働者の雇用を守る制度が日本より充実していないため日本以上にシビアな目で見られ、場合によってはすぐに解雇というケースもあります。
給与以外の一般的なその他の待遇は下記になります。
医療保険:会社によるが現地医療保険などに会社負担で加入するケースが多い。
年金:基本的にない。自身で日本の年金などに加入する必要がある。
ボーナス:年1回12月または1月に1ヶ月分のボーナスが出る場合が多い。これに加えて業績連動のボーナスが出る企業が多い。
住宅:自己負担の場合がほとんどで住宅費補助が出るケースはまれ。
(「アジア転職読本」より(森山たつを氏著)電子書籍出版に伴うデータ改訂を岡本(本HP作成者)が実施)
3.シンガポール現地スタッフの一般的な給与水準
シンガポール人及び日本人の大卒初年給の水準を比較しました。このデータを見る限り、大卒初年給の水準で見ると日本人の国内平均よりもシンガポール人の平均給与の方が高いことが見て取れます。一般的な日本人現地採用の給与も現地人スタッフと比較した場合、あまり変わらないか、現地人スタッフの方が多いケースもよくあるということもこのデータを見ると伺えます。
4.ビザの発給条件について
就労ビザとは
ビザとは、国が自国民以外に対して、その人物の所持する旅券が有効であり、かつその人物が入国しても差し支えないと示す証書のことをいいます。特に就労ビザとはその国で一定期間就労して、経済的利益を得るために必要なビザのことをいいます。日本人が海外で働く場合、必ず就労ビザが必要になりますが、発給要件はその国ごとに異なります。特に近年、日本人がアジア諸国で働くための各国のビザ発給条件が厳しくなっている傾向があります。就労ビザの発給要件はその国が日本人や他国の労働者をどの程度受け入れたいかということに依存しますが、経済が発展したシンガポールの様な国になると厳しくなるのが一般的です。就労ビザの発給要件は国によって頻繁に変わることが多いため、最新情報は常にチェックする必要があります。
シンガポールの就労ビザの発給手順
年々取得が厳しくなってきています。シンガポールで就労する為には、基本的に就労ビザを取得しなければなりません。 ビザの種類によっても異なりますが、おおまかな取得の流れとしては、以下の通りです。
①申請
↓
②In-Principle Approval letter取得
↓
③健康診断
↓
④写真・指紋登録
↓
⑤ビザ正式発行
シンガポールの就労ビザの種類と特徴
一般的に日本人がシンガポールで働く場合、①Sパス、②管理・専門職向け雇用許可書(EP: Employment Pass)のいずれかを申請しなければなりません。それぞれのビザについては申請要件、配偶者ビザを申請できる条件・対象者等に違いがあり、留意する必要があります。
①Sパス
…申請条件としては、専門学校、短期大学もしくはそれらと同等かそれ以上の学歴を有することと、月額固定給料が2,200ドル以上であること。
②EP(エンプロイメントパス)
…一定以上の学歴(※1)と最低3,300ドル以上の月額固定給料であることが申請条件。
Q1とP1、P2の3種類ありますが、申請条件は月額の固定給料額によって異なります。
P1: 8,000Sドル以上
P2: 4,500Sドル以上
Q1: 3,300Sドル以上
※1…学歴について
公表されてはいないが出身大学等の学歴により、取得出来るEPは異なってくるので留意が必要です。
上記のようなビザの厳格な取得要件はシンガポール就職に際してのハードルが高い理由の一つになっています。またこのような厳格なビザの取得要件はシンガポール自国民の雇用を守る意味もあり、さらに各法人ごとにSパス、エンプロイメントパスの上限も決まっています。近年ビザ取得要件は厳しくなる傾向にあり、ルールは頻繁に変わりますので転職エージェント等へ最新情報を確認を行うことが必要になってきます。