フィリピンの経済状況

1.フィリピンの経済概要

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上記はASEAN諸国のGDPの推移です。フィリピンは下から2番目の青の太字になります。ASEAN諸国内で第2位の1億人を超える人口を持つ国としてはGDPはそれほど大きくはありません(インドネシア2.6億人、タイ7千万人、マレーシア3千万人、シンガポール5.5百万人、ベトナム9千万人)。
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1人当たりGCPを見るとそれがよくわかると思います。既に1万ドルを突破しているシンガポールとマレーシアなどと比べて、フィリピンの1人当たりGDPは今だ2千ドル台に留まっています。一方でフィリピンは貧富の差が大きいことで知られている国です。マニラやセブなどの都市部には大型のショッピンモールが多数あり、人々の購買意欲も旺盛です。

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直近のGDPの成長率を見ると近年のフィリピンは6%〜7%台と好調を維持しています。これは2010年に大統領に就任したアキノ大統領の功績が大きいと言われています。腐敗していた政府をある程度立て直し、世界からの投資が来始めています。国内の消費も堅調で今後の成長が期待されます。

2.フィリピンと日本及びASEAN諸国との比較

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(マカティのビル群)

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日本との比較で見た場合、フィリピンのGDPの大きさは6%、1人当たりGDPは7%程度と経済規模は大きくありません。しかし、フィリピンは所得格差が大きいため、都会であるマニラやセブではかなりの中間所得者層も育ってきている印象があります。

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一方、他のASEAN諸国とのGDPの伸びを比較すると上記のようになります。フィリピンの2014年のGDPは2007年と比べて、1.9倍に増加しており、これは掲載した他のASEAN諸国の中で第2位に位置しています。

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また、日本のGDPの伸び率1.06倍と比べた場合、フィリピンの成長率(ASEAN諸国)は著しく高いことも見てとれます。綺麗な人口ピラミッドを持つフィリピンは今後も順調に人口が増えることも予想され、政治的な安定が続けばさらなる経済発展が期待出来ると考えられます。

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→フィリピンの概要「4.マレーシアと日本との比較」を参照

3.フィリピンの産業

スクリーンショット 2015-10-01 5.51.14(フィリピンの地方の田舎道)

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フィリピンの産業構造を見ると、農林水産業が11.1%、鉱工業が32.1%、サービス業が56.9%となっており、サービス業の占める割合が大きくなっています。詳細な内容を見ていくと、鉱工業の中で製造業の占める割合が22.1%と最も大きく、5.5%の建設業が続きます。ただ、製造業の全体に占める割合は、タイやシンガポール、マレーシアといった、製造業が盛んな他のASEAN諸国よりも低くなっています。またサービス業内では、商業が16.7%、住宅不動産が11.0%、輸送・倉庫・通信関連が7.7%と続きます。需要部門で民間消費が大部分を占めるフィリピンですので、サービス業もバランス良く盛んです。

4.フィリピンへの直接投資の状況

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上記はASEAN諸国への直接投資額(証券投資などを除く純投資額)の推移です(フィリピンは一番下の水色)。これを見ていただくとわかるようにフィリピンへの直接投資の金額は他のASEAN諸国と比べて低い水準になっています(直近は増えているとことですが。)。これには下記の理由が挙げられます。まずは、フィリピンの政治が長く混乱しており、これまで外国からの投資が十分に入って来なかった点、また、インフラ面では他国と比べてかなり劣っているといえます。そのため、製造業を中心に中国と地続きのタイやマレーシアと比べて外国企業の進出が遅れたと言われています。

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またこの直接投資の出遅れ感の弊害は高い失業率からも見て取れます。上記はASEAN諸国の失業率の推移です(フィリピンは水色で一番高い失業率となっています)。他国と比べて人口が多く、若年齢層が多いことも1つの理由ですが、製造業など多くの雇用を必要とする産業を外国から誘致出来て来なかったこともフィリピンの失業率が高止まりしている一因と言われています。しかし、現在のアキノ大統領は国民と海外からの信任が厚く、直近のGDPは堅調に推移しています。近年はPEZA特別特区(※)と言われる地区にはエレクトロニクス関係の製造業を中心とした外国企業を誘致しており、輸出向けの製造業も盛んになってきています。今後はインフラ面にも力を入れ、製造業を中心とした産業を育成していく必要があります。

(※)PEZAとは
…Philippine Economic Zone Authority(フィリピン経済特区庁)のことで、貿易産業省の法定機関である。投資推進、雇用創出、輸出増加を目的として、1995年に設置された。現在、フィリピン全土には300を超えるの経済特区がある。経済特区内の企業には、法人税の減免、海外からの機械設備・部品・原材料に対する関税の免除、不動産取得に関する税金の免除など破格の優遇措置がある。

5.IT-BPOサービスの拠点としてのフィリピン

フィリピンの公用語は英語であり、インド人と比べて綺麗な英語を話すことから近年注目を浴びているのがコールセンターなどのBPO業務(※)です。これまでコールセンター業務と言えばインドでしたが、2011年にはそのインドを抜いてフィリピンが世界一となりました。また、近年人気のオンライン英会話スクールや英語留学先としてのフィリピン留学も注目を浴びています。フィリピンは英語が堪能な英語スピーカーを大量に雇用出来るためです。僕も2011年4月から3ヶ月間フィリピン(セブ)留学を経験してその価格の安さとクオリティに驚きました。現在はCROSS×ROAD(クロスロード)という英語学校をフィリピンのセブに立ち上げ運営を行っています。英語を短期間で一気に伸ばしたい人は是非、フィリピン留学も選択肢の1つに入れてみて下さい(宣伝(笑))。

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→CROSS×ROAD(クロスロード)のHPへ

※ BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
…自社の業務プロセスを外部企業に委託すること。業務の一部を一括して外部に任せることで、委託側は自社のコア業務に専念することができる。

6.出稼ぎ労働者の存在

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(キリスト教の教会)

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フィリピンには出稼ぎをしているフィリピン人が世界各国に1千万人(人口の10%)いると言われており、彼らからの仕送りの額は2013年で約2兆7,000億円ありGDPの約10%を占めるほどです。彼らからの仕送りが国内の消費に向うとこで、好調なフィリピン経済を支えていると言えます。主な出稼ぎ先は北米と中東になります。これまではハウスキーパーなどの低賃金の労働者が主でしたが、近年は看護師などの高賃金の職種で現地で活躍するフィリピン人も増えています。

7.フィリピンの輸入及び輸出産業

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フィリピンの輸出入の相手先は輸出・輸入ともに日本、中国、アメリカがベスト3となっています。その中で日本は(フィリピンから見た)輸入が3位、(フィリピンから見た)輸出が1位となっており、存在感を見せています。

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フィリピンの輸出入の内訳は上記のように非常に特徴的となっています。主に電子部品の部品や半製品を輸入して、それをPEZA特別特区(※4.フィリピンへの直接投資の状況を参照)と言われるエレクトロニクス関係の製造業の集積地で組み立て加工を行い、それを日本を中心とした諸外国に輸出をしています。輸出品目のほとんどすべてはこのPEZA特別特区の工場で製造されていると言われています。

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上記は日本との輸出入額の近年の推移になります。輸入と輸出はほぼ均衡しており、輸出入額も大きな動きはありません。ただベトナムと比べた場合、特に(フィリピンから見た)輸出額は大きく見劣りがします。ベトナムを含むASEAN諸国は自動車産業の工場として日本企業と深い結びつきがありますが、フィリピンには自動車関係の産業が多く見られず、電子部品やエレクトロニクス関係の製品・製品の輸出入が盛んとなっています。

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上記は日本との輸出入における品目別の内訳になります。電気機器や半製品を輸入して、それに製造加工を施し、輸出している状況が見てとれます。また、自動車などの輸送用機器の輸入量も大きくなっています。

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→「フィリピン〜Philippines〜」へ