マレーシアの政治状況

第二次世界大戦後から工業を中心として堅実に発展してきたマレーシアは「東南アジアの優等生」と呼ばれています。1人当たりGDPは1,000ドルを越え、国民はタイやベトナムなどの周辺のアジア諸国と比べて平均的には高い生活水準を享受しています。しかし、多民族国家でもあるマレーシアは、国内で人種ごとに1人当たりGDPが異なるなど、格差が生じており、経済的・政治的衝突の火種を抱えています。

1.マレーシアの近代史概要

(1)第二次世界大戦後(1945年〜1965年)

第二次世界大戦後の1948年、イギリスの植民として、マレーシアの母体となるマラヤ連邦が成立しました。その後、華人が大部分を占めるシンガポールの加入及び1965年の分離などが生じ、同年、現在のマレーシアとして国境が確立しました。

(2)民族間対立とブミプトラ政策(1965年~1980年)

マレー系、中華系、インド系の多民族国家であるマレーシアは、主に経済格差を理由に対立を繰り返してきました。特に1969年に勃発した「5・13事件」と呼ばれる民族対立事件では200名近くにのぼる死者を出し、戦後最悪の民族対立となりました。このような格差を是正するために制定されたのが「ブミプトラ政策」という政治的・経済的なマレー人優遇政策です。これは、土着の民とされる「ブミプトラ」(マレー人およびその他の先住民;人口の約65%)の経済的地位を向上させるための政治的・経済的な優遇策であり、内外からも差別・選民的であるという批判も受けています。一方、1970年代には工業化に成功し、高度成長を果たしています。

(3)マハティール首相以降の経済発展(1981年~現在)

マハティールが首相に就任すると「ブミプトラ政策」を引き継ぐとともに様々な経済政策を打ち出し、マレーシア経済はさらに発展します。特に1985年のプラザ合意以降、円高で苦しむ日系企業の工場移転などの直接投資を受け入れ、工業化はさらに進展していきます。1991年以降は、2020年の先進国仲間入りを目指す構想「ビジョン2020」を発表し、その実現に向け国家運営を行っています。現在は1998年のアジア通貨危機、2008年のリーマン・ショックで一時的に経済は停滞するものの、堅実な経済を実現しています。

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2.マレーシアの政治

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(マレーシアの国会議事堂)

政治体制の概要

立憲君主制の連邦国家であり、国王は国家元首であり、首相の任命と法律の裁可を行います。国王は名目上行政の長であるものの、政府の助言に基づいて行動しなければならないため、実権は首相と内閣が保有しています。国王は国民統合の象徴としての機能を有しているほか、連邦直轄領におけるイスラムの首長の役割を有しています。(マレーシアの投資環境(株式会社国際協力銀行)を参照)

国家元首

国王は13州の内9州にいるスルターン(首長)による互選で選出され(実質的には輪番制)任期は5年です。世界でも珍しい世襲ではなく選挙で選ばれかつ終身制ではない国王となっています。現在の国王はアブドゥル・ハリム・ムアザム・シャー国王です。(Wikipediaを参照)

行政

首相
選挙によって下院(Dewan Rakyat)の最大政党の党主が選ばれ、マレーシアの国王(アゴン)により任命されます。任期は5年であり、1957年の独立以来、与党連合の国民戦線(Barisan Nasional)の統一マレー国民組織(UMNO)党首が首相に就いています。現任の第6代マレーシア首相は、ナジブ・ラザクです。(マレーシアの投資環境(株式会社国際協力銀行)を参照)

内閣
マレーシアは議院内閣制を採用しており、国王は首相を任命し、閣僚は、首相の助言に基づいて上下院議員の中から国王により任命されます。(マレーシアの投資環境(株式会社国際協力銀行)を参照)

立法

マレーシアの国会は、マレーシア憲法第44条に基づきマレーシアの国王・元老院・代議院により構成されています。議会は上院と下院の二院制から構成されています。上院は、政府の助言に基づいて国王に任命される議員が過半数を占めることもあり、名誉職的存在となっています。下院議員は全て小選挙区制の下で選出され、任期は5年です。(マレーシアの投資環境(株式会社国際協力銀行)を参照)

司法

司法機構は連邦裁判所、上訴裁判所、高等裁判所、下級裁判所という構成となっています。そこから独立して、イスラム教徒間の訴訟を管轄するシャリア法廷が各州王の下に存在しています。(マレーシアの投資環境(株式会社国際協力銀行)を参照)

3.マレーシアの軍事状況

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マレーシア軍は、マレーシアの国土と国益の保全を目的とした組織です。ただし、日本軍がマレー作戦を行なって以降は、本国に対する直接侵略の危機に直面していません。しかし、一時は同じ国でもあったシンガポールとの間には、恒常的な政治的軋轢を抱えている一方、インドネシアとの間にも対立関係が存在しています。南沙諸島をめぐっては、他の東南アジア諸国と対立するとともに、中国・台湾の勢力伸張に直面しているため、軍事的緊張も存在しています。(Wikipediaを一部編集)

4.マレーシアを巡る国際関係

旧宗主国のイギリスや、日本、オーストラリアなどと貿易を通じて密接な関係を持つ他、隣国であるタイやシンガポール、インドネシアなどのASEAN諸国とも密接な関係を持っています。近年は、中国・韓国との関係も強化しています。また、イスラム教国であることから中東諸国との結びつきが強いです。英語の語学研修のため、ドバイやサウジアラビアなどからの留学生も多く受け入れています。(Wikipediaを一部編集)

シンガポールとの関係

隣国で一時は同じ国であったシンガポールとは人種や領土、開発に関する問題、欧米諸国への姿勢などで度々衝突しており(軍事的なものではなく、あくまで外交上のもの)、地理的・心理的に密接ではあるが複雑な関係と言えます。マレーシアにとってシンガポールは最大の輸出先でもあり、輸入元でも第2位となっており、経済的な結びつきも強いです。(Wikipediaを一部編集)

中国との関係

マレーシアと中国は伝統的な友好国ですが、他のASEAN諸国と同様、最近では領土問題を抱えています。マレーシアは東南アジア諸国としてはシンガポールに次いで華僑の割合が高いため、その結びつきを用いて、経済的に接近する動きも見せています。(Wikipediaを一部編集)

日本との関係

対日関係については「ルックイースト政策」を掲げたマハティール政権、それを継承したアブドラ政権の下で緊密な関係が維持してきました。マレーシアの経済状況「5.マレーシアへの直接投資及び日系企業の状況」でも述べました通り、2013年のマレーシアに対する直接投資の国・地域において、日本は投資額はトップであり、毎年安定的にマレーシアに投資を行っています。また近年は日製造業の日本企業の進出が続いており、関係は深いといます。(Wikipediaを一部編集)

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