海外就職先の仕事の分類と海外で働く際に必ず知っておくべき「基本方針」とは?

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僕はこれまで日本人の海外就職状況をリサーチするために6カ国ASEAN諸国(地域)(シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン)を回り、現地の日系人材紹介者を30社以上に訪問し、100名以上の海外で働く日本人の話しを伺ってきました。その中で海外で働く現状に納得している人、そうでない人、自分の将来に自信を持っている人や海外起業を目指している人など様々な人々がいました。また、海外就職についての情報を発信する中で海外就職そのものに懐疑的な人のお話も伺うことがあります。そこで海外で働く人々の仕事(特に現地採用)を分類し、どの分類に属する人々が現在の状況に満足しているか?就職先の国や企業を選ぶ際にどの分類を選んだ方が長い目で見て納得できるキャリアを得る事ができるか?を整理及び分析してみたいと思います。

海外就職している人の仕事を分類する。

まずは実際に海外で就職している人の仕事を下記のように分類してみたいと思います。横軸に現在の満足度(待遇(給与・勤務時間等)を縦軸に将来の満足度(将来性や得られるスキル)で区切り4つのマスにで分類します。

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ここで「現在の満足度」と「将来の満足度」は下記の要素から成り立ちます。

「現在の満足度」…給与、勤務時間、諸手当、休暇の取り易さなど
「将来の満足度」…仕事を通して得る事ができるスキル、語学、人脈、知識、マネジメント力など

各分類の名称及び特徴は下記になります。

「Ⅰ.理想型の仕事」
 …現状の待遇にも満足しているだけではなく、将来役に立つスキルなども得る事ができる理想の仕事
「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」
 …現状の待遇には満足できているが、将来役に立つスキルの取得は難しい職場
「Ⅲ.スキル重視型の仕事」
 …現状の待遇には満足できないが、将来役に立つスキルは取得出来る職場
「Ⅳ.搾取型の仕事」
 …現状の待遇にも満足出来ないだけではなく、将来役に立つスキルも取得出来ない最悪の職場

まずはっきりさせておきたいのは、この仕事の分類はあくまで主観的な分類であり、同じ職場でも与えられる仕事によっては「Ⅰ.理想型の仕事」になったり、「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」になったりすることがあり得るということです。例えば、同じコールセンターという職場でもあっても、一担当者として、日本語でかかってくる電話に日本語で対応する仕事をやり続けるのと、コールセンター立ち上げに参画し、現地のスタッフを英語でマネジメントする仕事では得られる待遇もスキルも異なります。

また同じ仕事であっても、働く人によって仕事の捉え方は異なってきます。例えば、将来海外で起業する事を目標にしているAさんにとっては、色々な事を学ぶ事が出来る「Ⅰ.理想型の仕事」であったとしても、特に目標も持たずに漫然と働いているBさんにとってはただ給与等の待遇が良い「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」になることもあります。

それでは、この図を元に海外で働いている人やその職場を分析し、海外就職する際の基本方針を明らかにしていきたいと思います。

それぞれの分類で仕事をしている人の割合は?

海外で働く多くの人の話しを伺って感じたそれぞれの分類の割合はざっくり言って下記のようになります。

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働く場所が日本であっても海外であっても、現在の待遇に満足しており、そこで将来性のある業務を行う事ができる「理想の仕事」を得る事が出来るのは大体20%くらいではないでしょうか。一方でその他の大部分(この図でいうと80%)の人に取っては現状か将来性のどちらかに不満があるわけです。海外就職を否定的に捉える人はこの80%の部分を見て危険性を煽る傾向があると思います。

もちろん海外就職を志す人に取って「Ⅰ.理想的な仕事」を目指すのは当然ですし、そうすべきでしょう。しかし、語学力も低く、業務経験も浅い人にとって人が殺到する「Ⅰ.理想的な仕事」を最初から得る事は非常に難しいと思います。それでは海外就職初心者が取るべき基本方針はどのようなものになるのでしょうか?

海外就職初心者が取るべき基本方針とは?

語学力が低く業務経験が浅い海外就職初心者は、当初は「Ⅲ.スキル重視型の仕事」を見つけて、まずはそこで経験を積む事を重視すべきだと思います。そしてそこで2〜3年の経験を積んだところで、待遇改善を会社に要求したり、他のもっとスキルを学べて待遇も良い会社に転職をするなどの方向性が考えられます。またそこで学んだスキルや経験、人脈を元に起業をするという選択肢もあるでしょう。
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ここで海外就職の圧倒的な優位な点は、現地で3年程度の業務経験があり、ある程度の語学力とスキルを兼ね揃えた人材が圧倒的に不足しているという点が上げられます。そのため、「Ⅲ.スキル重視型の仕事」で修行をして次のステップに進むという戦略はかなり有力な選択肢であると言えると思います。これが海外就職初心者がとるびき基本方針になります。

多くの海外就職者が陥るキャリアの罠とは

ここで、海外就職を志す多くの人が陥る罠があります。それは現在の待遇を重要視しすぎて「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」についてしまうことです。ここは将来役に立つスキルを学ぶ事はできないものの、現在の待遇が良いため居心地は良いのだと思います。多くの人がここでの仕事に満足してしまい、「Ⅰ.理想の仕事」に移る事や次のステップに進む事を躊躇してしまい、現状維持を選択してしまいます。結果、3〜5年後に振返った時にキャリアの行き止まりにハマってしまい、前に進めなくなってしまう例を数多く見てきました。

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例えば、給料が比較的良い海外のコールセンターに就職をして、日本語でかかってきた電話に日本語で対応する業務を数年経験したとしても、次に転職をしたいと思ってもそこでの経験はほとんど評価されることはないでしょう。いたずらに時間を浪費したとしてむしろマイナス評価を受けてしまう事もあるそうです。現状の待遇が悪くないだけにここから抜け出す積極的な理由はありません。そのため、一度入ったら抜け出すのが難しいあり地獄的な仕事であると言う事ができます。

このような人は、特に海外就職について大きな展望を持って臨まずに行き当たりばったりに進んでしまったり、転職エージェントの言う事を鵜呑みにしてしまい、あまり考えずに進路を決めてしまった人に多いように感じました。

また、仮にあなたが「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」や「Ⅳ.搾取型の仕事」に就いてしまった場合は速やかに「Ⅲ.スキル重視型の仕事」に移る事を考えましょう。「Ⅰ.理想型の仕事」はよっぽどラッキーな人か、既に経験や実力がある人が得る事ができる仕事です。厳しい言い方ですが「Ⅱ.飼い殺し型の仕事」「Ⅳ.搾取型の仕事」に甘んじていたあなたがすぐに目指せる仕事ではありません(例外はあるかもしれませんが。)。

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海外で納得のいくキャリアを歩むために

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結局、海外であろうが日本であろうが、納得のいくキャリアを得るためには自分のやりたいことを見つけて、長期的なビジョンに基づき行動出来るかどうかにかかっているのだと思います。くれぐれも転職エージェントの言いなりになったり、彼らが持ってくる求人票のみから就職先を選ぶということはしないでほしいと思います。仮にそうであったとしても長期的なキャリアの方向性や戦略を持ち合わせた上で就職先を選んで下さい。もちろん、彼らの中には親身に転職希望者の相談に乗ってくれる良識のある人も多くいます。しかし、転職エージェントのクライアントはあなたではありません。報酬をくれるのはあくまで就職先の企業になります。そのため、就職先の企業の意向を重要視し、あなたの将来的なビジョンはなおざりにされることは起こりうる事を知っておいて下さい。あなたが納得のいくキャリアを歩まれる事を願っています。

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About Author

岡本 琢磨(Takuma Okamoto)

Beyond the Border(ビヨンドザボーダー株式会社)代表取締役 / 海外転職カウンセラー・コーチ / フィリピン・セブ英語留学クロスロード代表・公認会計士 / 1979年5月8日生まれ / 慶応義塾大学経済学部卒

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